全日本年金者組合
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私たちの主張・見解

   2006年までの主張




与党「07年度税制改正大綱」に抗議する声明 06年12月15日
全国市長会による最低保障年金にかかわる要望について 06年12月5日
政府税制調査会の答申に抗議する声明 06年12月4日
教育基本法改悪案の強行採決に抗議します 06年11月16日
医療保険改悪法案の強行可決に抗議し撤回を求める声明 06年6月14日
国民年金保険料免除・猶予の不正手続き事件についての見解 06年6月13日
医療改悪法案の衆議院強行採決に抗議する声明
物価スライドによる年金引き下げに反対し撤回を求める決議 06年2月3日
与党「医療制度改革大綱」についての抗議声明 05年12月2日
06年度政府税調答申に抗議する声明 05年11月28日
厚生労働省「医療制度改革試案」についての声明 05年10月20日
郵政民営化法案否決、国会解散にあたって 05年8月8日
最低保障年金制度の第2次提言 05年7月
介護保険法等「改正」法案の成立に抗議する声明 05年6月23日
所得税大増税の政府税調報告「社会保障費抑制の骨太方針」に抗議する  05年6月22日

最低保障年金制度の第2次提言 討議案の発表にあたって  05年3月23日

最低保障年金制度の第2次提言討議案  05年3月23日
「3・11重税反対総行動」を中心とする大増税反対の取り組みについて 05年1月12日
大増税等負担増のあらまし  05年1月12日

与党「07年度税制改正大綱」に抗議する声明
2006年12月15日   全日本年金者組合中央執行委員長 森 信幸

 12月14日自民公明両党は、「07年度税制改正大綱」を決定しました。これは、際だった大企業・大金持ち優遇と国民生活無視のものであり、私たちはこれに強く抗議するものです。

 「大綱」は、安倍内閣のかかげる成長重視を口実に、減価償却制度の見直しなど、大規模な大企業優遇税制を打ち出しました。大企業は既に、法人税率の引き下げに加えて、投資減税、連結納税制度など手厚い優遇を受けています。大企業の成長が賃金や消費の拡大につながるものでないことは、これまでの実績が証明しています。

 「大綱」はまた、国税・地方税合わせて20%の株式の譲渡益・株式配当課税を10%とする特例措置を、再延長の余地を残した1年間の延長を決めました。かつて75%であった所得税最高税率は、既に37%にまで引き下げられています。行き過ぎた大金持ち優遇を続けようというものです。

 財界は、外国企業の一部にも解禁させた政治献金を背景に、法人実効税率の10%引き下げと、2%の消費税増税を要求しています。「大綱」は、消費税を前面に立てず、実効税率引き下げに触れないという、参議院選挙を強く意識したものとなっていますが、先の政府税調の答申も実効税率引き下げを検討課題に挙げており、消費税増税とともに選挙後に政府・与党がごり押ししてくることは明らかです。

 相次ぐ増税と社会保障改悪に苦しめられている庶民の暮らしを無視した、大企業・大金持ち優遇を強化する「07年度税制改正大綱」を許すことはできません。私たちは、年金課税をもとに戻すとともに、大企業・大金持ちに応分の負担を求め、最低保障年金制度を実現する運動を一層強化するものです。


全国市長会による最低保障年金にかかわる要望について

2006年12月5日   全日本年金者組合中央執行委員長 森 信幸

 全国市長会は、11月16日に理事・評議委員合同会議を開催し、国の施策および予算に関する要望をまとめ、11月21日に全国会議員に、11月29日に関係省庁に提出しました。
  これらの要望のうち、国民年金に関しては、「将来に向けて持続可能な年金制度とするため、その在り方について、最低保障年金を含め国民的な議論を行い、適切な見直しを行うこと」としています。
  格差社会の進行の中で、高齢者の貧困や保険料を払えない人々の増大の問題が危機的な状況になっています。全国市長会の言うように、「将来に向けて持続可能な年金制度とするため」に、また、現在および将来の高齢者の生活を安定的に保障するために、現在の制度を抜本的に改善することが必要であり、これは全日本年金者組合の主張と基本的に一致するものです。
  この「要望」は、私たちの運動と国民的な要求の反映であり、最低保障年金制度の実現に向けて大きく道を開く可能性をもつ内容であります。私たちは、これを歓迎し、他の地方5団体が同様な「要望」をまとめることを期待するものです。
  また、私たちが長年にわたってすすめてきた全額国庫負担による最低保障年金制実現の運動をいっそう強めることを表明します。


政府税制調査会の答申に抗議する声明

2006年12月4日   全日本年金者組合中央執行委員長 森 信幸

 政府税制調査会(本間正明会長)は12月1日、07年度税制改正の答申を安倍首相に提出しました。

 答申は、個人住民税均等割の引き上げの検討を打ち出す一方、減価償却制度の見直しなど各種の新たな大企業優遇税制を盛り込み、法人税率の引き下げを今後検討するとしています。国民には重い税負担強いながら大企業・大金持ちを優遇するという、これまでの路線をさらに強めようとするものであり、断じて容認することができません。強く抗議するものです。

 さらなる大企業優遇税制と法人実効税率の引き下げは、財界からの強い要求です。答申は、消費税増税の意図を参議院選挙後まで隠し、「企業の国際競争力強化」を口実にして財界の身勝手な要求に応えようとする、安倍内閣の意向に忠実に従ったものです。

 大企業は、空前の利益をあげながら、賃金水準を連続的に低下させ、増やしているのは、配当と役員報酬だけです。小泉構造改革は、非正規労働者を増大させ、格差社会を極端なものにしています。年金課税強化や定率減税の縮小・廃止など相次ぐ税制改悪に加えて、社会保険・社会福祉の連続改悪で、庶民・高齢者の生活は、ますます厳しいものとなっています。

 全日本年金者組合は、現在と将来の無年金・低年金者の問題など、年金制度の根本的欠陥を正す最低保障年金制度の実現と、年金課税をもとに戻すとともに、大企業・大金持ちに応分の負担を求め、庶民増税・消費税増税に反対する運動をすすめています。

 私たちは、政府税制調査会答申に反対し、この運動に全力で取り組むものです。


教育基本法改悪案の強行採決に抗議します

2006年11月16日           全日本年金者組合 中央執行委員長  森  信幸

 11月16日、自民・公明両党は、前日の衆院特別委員会に続いて、衆院本会議で教育基本法改悪案を与党単独で強行採決しました。これは、慎重審議を求める世論を無視したものであり断じて容認できません。厳重に抗議します。

 いたましい「いじめ」自殺や高校での必修科目の未履修問題は、教育基本法の原則に反した競争や序列主義を押しつける教育行政にも問題のあることが審議の中で浮かび上がってきていました。今大切なことは、現行教育基本法の原則に立った、子どもの人格形成を目的にした教育を実現するために力を注ぐことです。

ところが、改悪案は、競争の教育をいっそう進めるとともに、教育基本法第10条の教育の独立性を否定し、国会での多数を占める政党が法律によって教育内容をも決められるなど、重大な問題を持っています。こうした問題点についての審議・検討はほとんど行われていません。

またタウンミーティングや教育フォーラムでのやらせ質問は、教育基本法改悪への世論操作の疑いを持たせるもので、文科省当局も答弁を留保したままです。与党の強行採決は、こうした事態を隠蔽するものであり、議会制民主主義を蹂躙するものです。

 現行教育基本法は、憲法とともに、戦前の教育が国民を戦争に引き込む役割を果たしたことへの痛切な反省と二度と再び戦争を起こさない決意のもとに定めたものです。教育の基本を定めた法律の改定を十分な審議もせず、改悪案や提案に至る経過などへの重大な疑念に答えることもせず、採決を強行するなど、断じて容認できません。

 私たち全日本年金者組合は、こうした暴挙に断固抗議するとともに、改悪案の廃案をめざし引き続き闘うことを表明するものです。



医療保険改悪法案の強行可決に抗議し撤回を求める声明

2006年6月14日   全日本年金者組合 中央執行委員長 森 信幸

 政府与党は6月14日、参議院本会議において医療保険制度改悪法案の採決を強行し可決成立させました。

 同法案は、高齢者の窓口負担を引き上げ、療養病床を大幅に削減するとともに、後期高齢者の医療保険制度をつくり介護保険と同様にすべての後期高齢者から保険料を徴収するなど、高齢者ねらい打ちの改悪法案です。また、法案は、医療保険制度の崩壊につながる混合診療に道を開くなど、多くの問題をもつものです。

 私たちは、再三にわたり問題点を指摘して、その撤回を求めてきましたが、政府与党は、国民世論の疑問に何ら応えることなく強行可決したものであり、断じて許すことは出来ません。強く抗議し撤回を要求するものです。

 国民年金だけの受給者900万人の受給平均月額は、4万7千円に満たないものです。この低年金からも介護保険料が差し引かれています。その上医療保険料が差し引かれるようになったら、高齢者はどのように暮らせばよいのでしょうか。また、昨年から公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止が行われ、今年は定率減税が半減されました。これらにより高齢者には、所得税・住民税だけでなく、国保・介護保険料など驚くべき負担増がのしかかっています。

 若いときは元気でも年をとって病気がちになる人は少なくありません。今元気な高齢者も将来の健康や介護に不安を持つ人が大部分です。追いつめられている高齢者を逃げ場のないところにさらに追いつめるのが今度の改悪法です。

 政府与党は、改悪に理由として高齢化による医療費の増加と財源不足をあげています。しかし、国民に医療を保障するのは政府の責任です。大企業・大金持ち優遇の税制には指一本触れず、財源をもっぱら福祉の切り下げと庶民大増税に求める財政運営を改めることが必要です。

 私たちは昨年、すべての人に老後の生活を保障する最低保障年金制度の創設を求める「第2次提言」を採択しました。その実現に全力をつくすとともに、政府が大企業に先進国並みの社会的責任を求め、大企業・大金持ち優遇税制を改め、改悪医療保険法を撤回することを要求するものです。


国民年金保険料免除・猶予の不正手続き事件についての見解

2006年6月13日     全日本年金者組合中央執行委員長 森 信幸

 国民年金保険料免除・猶予の不正手続きは、適切でない事務処理が26事務局100事務所で合計11万4千件にのぼることが報告され、組織的に行われていたことをうかがわせています。

 この事件の背景には、年金「空洞化」、つまり保険料未納問題があることは明らかです。公的年金制度を維持するためには、02年度62.8%まで落ち込んだ保険料納付率の回復が不可欠です。ところが04年の「年金改革」では、多段階免除、若年者の納付猶予など、免除・猶予を受けやすくする制度をつくり、市町村から所得情報を得て未納者対策に活用するという対症療法だけでした。

 納付率は、1年間に納付されるべき総月数に対する実際に納付された総月数で計算されます。納付率を上げることは、納付者を増やすことだけでなく、免除・猶予者を増やして分母を小さくすることによっても可能です。分母対策としてこれが重視されていました。所得情報を使って免除可能な人たち全員に接触して免除・猶予申請書を提出させる取り組みの中で起きたのが今度の事件です。

 政府は、04年7月に損保ジャパンの副社長、村瀬氏を社会保険庁長官に招き、民間手法による納付率アップを目指しています。低迷していた納付率が05年度多少の改善を見込んでいた矢先の事件です。いかにすさまじい取り組みがされていたかがうかがえます。これは、必達とされる目標管理と成果主義の重圧が生み出した不正です。長官の出身会社で保険料を立て替えて契約を取り付ける大規模な保険業法違反事件が発覚したのも偶然ではありません。政府と長官の責任は免れません。

 政府は、これまでの手法に加えてクレジットカードによる保険料納付や年金保険料滞納者に国保の短期保険証を発行して窓口に呼び出して納付を促すことを可能にする制度をつくることを予定しています。

 今度の事件は、日本の公的年金制度が、これらの異常な手段を使っても持続が困難な構造的欠陥を持つ制度であることを示しました。それは、収入の有無にかかわらず保険料の納付を求め、保険料を納められない人には年金を支給しない制度です。保険料未納者を生み出すだけでなく、無年金・低年金者を大量につくり出す制度です。

 公的年金制度はすべての人に老後の生活を保障する制度でなければなりません。全日本年金者組合は昨年7月、「最低保障年金制度の第2次提言」を採択し、無拠出の最低保障年金を制度の基礎に据える公的年金制度を提案し、07年実現目指して運動を強めています。この不正事件は、最低保障年金制度の緊急必要性を浮き彫りにした事件です。


医療改悪法案の衆議院強行採決に抗議する声明

2006年5月18日       全日本年金者組合中央執行委員長 森 信幸

 5月18日自民・公明両党は、17日の厚生労働委員会における強行採決に続き、衆議院本会議で世論を無視して医療改悪法案を可決しました。

 厚生労働委員会の強行採決は、審議時間もわずか35時間であり、その問題点がようやく浮き彫りにされようとする中でのものであり許されない暴挙です。

 同法案は、高齢者の窓口負担と、負担限度額の大幅引き上げなどをねらう、正に高齢者ねらい打ちの改悪法案です。70歳から74歳までの窓口負担を1割から2割に引き上げ、75歳以上につては、高齢者医療保険をつくり、すべての高齢者から保険料を徴収するものです。そして同法案は、療養病床の大幅削減により、行き場のない高齢者を大量に作り出すものです。

 人は、年を取ると病気にかかりやすく治りにくくなります。高齢者の窓口負担などを重くすれば、受診抑制をもたらします。これにより治るべき病も、手遅れになり治らなくなる事態も起こります。窓口負担などの引き上げは、高齢者の命を縮めるだけでなく、医療費を逆に増加させることになりかねません。

 また同法案は保険のきかない医療、混合診療を拡大するものです。混合診療は、医療を金儲けの道具にし、貧しい人がまともな医療を受けられなくする制度です。混合診療の拡大は、医療保険制度の破壊に他なりません。

 全日本年金者組合は、すべての人に老後の所得保障をする最低保障年金制度の実現を求めて運動しています。そのための運動とともに、医療保険改悪法案の廃案をめざして全力で闘うものです。


物価スライドによる年金引き下げに反対し撤回を求める決議

 2006年2月3日    全日本年金者組合常任中央執行委員会

 昨年12月末政府は、物価スライドによる年金の引き下げを盛り込んだ「平成18年度予算案」を閣議決定しました。去る1月27日総務省が、05年の消費者物価指数を発表したことを受け、各紙は、06年度の年金の「0.3%引き下げが確定した」と一斉に報じました。
  政府は、景気への配慮、高齢者の生活実態等をふまえて、2000年度から3年間の物価スライドによる年金引き下げ1.7%を凍結してきたにもかかわらず、03年度0.9%、04年度0.3%と前年の指数低下分に応じた引き下げを強行しました。05年度は、前年の指数が0.0%であったとして据え置かれました。
  ところが平成18年度予算案は、05年1年間の物価指数が0.3%低下したとして、06年4月からの年金を0.3%引き下げるとしています。
  指数が低下したからといっても高齢者の生活にほとんど無関係です。それは高齢者には関係の薄いIT用品などの値下げによるものだからです。庶民の生活に欠かせない野菜や灯油などの値上がり、年金課税の強化や介護保険などの値上げによる負担増が高齢者の生活をかえって厳しいものにしています。また、児童扶養手当など、各種福祉手当の引き下げにも連動し、構造改革によって追いつめられている弱者に追い打ちをかけるものです。
  もともと物価スライドは、物価上昇による年金の実質的な低下を防ぎ、高齢者の生活を守るための制度です。年金を引き下げるためのものではありません。アメリカでは、指数が低下したときの適用はありません。
  04年「年金改革」で政府は、物価指数が上昇しても指数通りの年金改定をしない「マクロ経済スライド」を導入しました。指数が低下したときだけそのまま引き下げることは許されません。
  私たちは、物価スライドを口実にした年金引き下げに断固反対し、その撤回を要求します。また、すべての人に老後の生活を保障する最低保障年金制度の実現を、政府・財界の「社会保障の一体的見直し」に対置し、07年実現を目指して全力を挙げます。


与党「医療制度改革大綱」についての抗議声明
2005年12月2日 全日本年金者組合 中央執行委員長 森 信幸

 与党は1日、06年度から実施する医療制度「改革」の大綱を決定しました。
これは、高齢者の窓口負担の大幅引き上げをはじめ、すべての高齢者から保険料を徴収する新しい「高齢者医療制度」の創設、長期入院患者の食費・居住費の自己負担化、高額医療費の自己負担限度額の引き上げなど、高齢者・庶民に大きな負担を強いる厚生労働省「医療制度構造改革試案」を追認し、改悪の度をいっそう強めるものです。私たちは、これを絶対に容認することはできません。
特に「大綱」は、窓口負担の負担増、療養病床のホテルコスト、「高齢者医療制度」など、高齢者ねらい打ちの「改革」です。病院通いを余儀なくされている高齢者は少なくありません。負担増は、これらの人たちの診療抑制をもたらし、疾病の重度化につながり命を縮めることにもなりかねません。
小泉構造改革はすでに、保険料の大幅引き上げと、給付水準の大幅引き下げを将来に向かって約束する年金改悪、ホテルコストなどの自己負担をもたらす介護保険の改悪を強行しています。また、年金課税強化をはじめとする高齢者・庶民大増税路線が開始され、来年以降の更なる負担増に加えて、新たな大増税が計画されています。
この20年来、大企業・大金持ち優遇税制は、強められてきました。彼らに応分の負担を求め、軍事費や無駄な公共事業費を削って社会保障を充実させることが必要です。
「大綱」は、耐えがたい負担増にあえぐ高齢者・庶民に追い討ちをかけるものであり、絶対に認めることはできません。全日本年金者組合は、すべての国民の老後の生活を保障する最低保障年金制度の創設を要求するとともに、医療制度改悪に反対して闘うものです。


06年度政府税調答申に抗議する声明
2005年11月28日  全日本年金者組合 中央執行委員長 森 信幸
  政府税制調査会は25日、06年度税制改正答申を小泉純一郎首相に提出しました。答申は、大企業・大金持ちへの優遇を続けながら、高齢者・庶民への更なる大幅負担増を強いるものであり、断じて許すことは出来ません。
答申は、06年1月からの半減がすでに決められている定率減税の全廃を求めています。定率減税は、法人税率と所得税最高税率の引き下げと共に、99年恒久的減税として行われたものです。景気回復が伝えられ、大企業は記録的な高い利益を誇っています。しかし、反対に国民の収入は減り続けています。定率減税の廃止には、全く根拠がなく庶民のみに大幅な負担増を強いるものです。
また答申は、「三位一体改革」に伴う税源移譲のためとして、住民税の税率を10%一本にし、所得税で負担を調整するとしています。しかしこれは、地方税における累進課税を否定するものであり、また、住民税のみ課税の低所得の人々に新たな負担を強いるものです。
高齢者にとって見逃すことの出来ないのは、住民税を年金から特別徴収するとしていることです。所得税のほかに、すでに介護保険料の特別徴収が行われています。これは、特別徴収を国保保険料などへ広げようとする動きに呼応するものです。
時限立法で行われた企業向け減税、研究開発税制・IT投資促進税制の延長はしないとしています。しかし答申は、この20年来一貫して強められてきた大企業・大金持ち優遇税制に、指一本触れようとはしていません。
全日本年金者組合は、すべての人が安心して老後を迎えられるよう、全額国庫負担の最低保障年金制度を提起しています。私たちは、制度創設の運動に全力を上げるとともに、大企業・大金持ちには利益と所得にふさわしい負担を求める税制改正を要求し、相次ぐ高齢者・庶民への大幅負担増に反対して闘うものです。

厚生労働省「医療制度改革試案」についての声明
2005年10月20日     全日本年金者組合 中央執行委員長 森 信幸
 厚生労働省は19日、来年の通常国会に提出する「医療改革法案」のたたき台となる「試案」を発表しました。これは、高齢者の窓口負担を2割、3割にすることをはじめ、すべての高齢者から保険料を徴収する新しい「高齢者医療制度」の創設、長期入院患者の食費・居住費の自己負担化、高額医療費の自己負担限度額の引き上げなど、高齢者・庶民に大きな負担を強いるものです。
 「試案」は、医療費の総額管理で、2015年度7兆円、2025年度15兆円の医療費削減を主張する財界の要求に応え、それぞれ2兆円、7兆円の削減を目指して作られたものです。
 小泉構造改革はすでに、保険料の大幅引き上げと、給付水準の大幅引き下げを将来に向かって約束する年金改悪、ホテルコストなどの自己負担をもたらす介護保険の改悪を強行しています。年金課税強化をはじめとする高齢者・庶民大増税路線が開始され、来年以降の更なる負担増に加えて、新たな大増税が計画されています。
この20年来、大企業・大金持ち優遇税制は、強められてきました。彼らに応分の負担を求め、軍事費や無駄な公共事業費を削って社会保障を充実させることが必要です。
 「医療制度改革」は、耐えがたい負担増にあえぐ高齢者・庶民に追い討ちをかけるものであり、絶対に認めることはできません。全日本年金者組合は、すべての国民の老後の生活を保障する最低保障年金制度の創設を要求するとともに、医療制度改悪に反対して闘うものです。

郵政民営化法案否決、国会解散にあたって

2005年88    全日本年金者組合 中央執行委員長 森 信幸
 小泉首相は、88日午後、参議院本会議で郵政民営化法案が自民党議員を含む反対多数で否決されたことを受けて、臨時閣議を開催し、国会解散にふみきりました。
 
郵政民営化関連法案は、郵政事業を「郵便」「貯金」「保険」「郵便局」の四つの株式会社に分割し、単なる民間の銀行・保険会社に変質させるものです。
 また、民営化を積極的に求めてきたのは、日米の金融業界、日本の財界とアメリカ政府です。
 郵便局は長年、全国の村や町で住民の暮らしを支えてきましたが、営利優先の経営になれば、儲からない事業としてつぶされていくことは明らかです。
 
もともと国民は郵政民営化を望んでおらず、法案は否決され、廃案にすることは当然であります。
 
法案の否決は、私たちが勝ち取った大きな成果です。
 
また、法案の否決は郵政だけでなく、小泉自公政権の国民無視の政策に対する不信任でもあります。
 年金制度の大改悪をはじめ、憲法改悪、国民生活無視の小泉内閣に対する怒りの声は全国で大きく拡がっています。
 総選挙は、これらの国民の怒りで政治を変革するまたとないチャンスです。
 
私たち年金者組合は総選挙にあたって、組合員の政治活動の自由を保障しつつ、高齢者のくらしを守り、最低保障年金制度の創設、社会保障の充実、大増税反対、憲法改悪阻止を掲げてたたかいます。

最低保障年金制度の第2次提言 2005年7
はじめに
 
1950年、戦後の民主化がすすむなかで、社会保障制度審議会は、憲法25条にもとづく国民の生存権と国による生活保障の義務を明確にするために、「社会保障制度に関する勧告」を出しました。しかし、この勧告は政府によって無視され続けています。
1989年に結成した全日本年金者組合は、この精神をくみとり、発足当初から全額国庫負担による「最低保障年金制度」を提唱し、ねばり強く運動を続けてきました。
署名・カンパ、政府・政党などへの要請、国会請願、自治体交渉、地方議会請願など、多彩な運動を展開し、社会的に大きな影響を与えてきました。92年12月神奈川県寒川町議会で、「最低保障年金制度」創設を国に求める意見書が初めて採択され、以来現在まで(05年2月)、1110の自治体議会(45%の議会:05年4月1日現在)で最低保障年金制度の創設を含む意見書が採択されています。
年金者組合が、2001年大会で、最低保障年金制度の提言を採択したことは、運動を大きく発展させる契機となりました。また、年金の空洞化、無年金・低年金の問題が無視できない状況になるなかで、経済団体、各政党、連合や全労連など労働団体も最低保障年金の問題を取り上げざるをえなくなっています。長年にわたる年金者組合の運動の成果です。一方で、年金の財源を消費税でまかなおうという主張が強まり、消費税大増税への突破口とされようとしています。
こうした新たな情勢のもとで、真に国民の立場に立った最低保障年金制度の内容を明らかにします。15年間の運動の発展に確信を持って、07年度での実現を目指し、大きく運動を発展させます。
 
【1】 いま、日本の年金制度は・・・ 
(1)年金制度の矛盾を大きくする04年年金改悪
 2004年年金「改革」は、負担増・給付減を強いる史上最悪のものでした。マクロ経済スライドの導入で、今後何年にもわたって自動的に給付水準を下げていくことになりました。年金制度の重大問題である空洞化や無年金者・低年金者の問題、「女性の年金」は何ら解決されないだけでなく、その矛盾は一段と深刻化し、制度そのものが展望のない袋小路に入っていくことが明らかになっています。この「改革」法が成立した後も、国民の不信と不満はますます大きくなっているのは当然です。早晩、制度の抜本的改革は避けられません。
 この「改革」の最大の欠陥は、歴史的に確認された国と資本家による社会保障の責任を放棄し、自律・自助をうたって、負担と給付のバランスにのみ重点をおいていることです。生存権を保障する理念にもとづいた改革が必要です。
(2)深刻化する年金制度の空洞化と低年金
 日本の年金制度がかかえる最大の問題点は、なんといってもこのままでは無年金者・低年金者が増え続けるという問題です。さらに年金の格差が重大になっています。
 無年金者が現在でも60万人、また、国民年金だけの人は909万人で、その平均月額は4万6千円です。子どもに頼れない人も多く、くらしていけない高齢者が増えています。しかも、保険料を納める人の率は下がり続けており、2003年度で63.4%です。免除者を含めて計算すると51.4%しか、保険料は納められていないことになります。
 こうした年金制度の空洞化の状態は厚生年金でも進行しており、加入者数は98年以来毎年減少しています。企業倒産、リストラ、雇用の非正規化などによるものです。契約社員、請負業の労働者、パート労働者など非正規雇用の労働者の多くが厚生年金に加入しておらず、将来の低年金が避けられません。企業の違法な適用逃れも、増えています。
 年金制度の空洞化は、放置すれば、ますます深刻な事態になるのは明らかです。
(3)女性の年金問題
 年金が、賃金や保険加入期間をストレートに反映するため、雇用の場での、賃金・昇級・昇任・仕事内容などの女性差別や、社会のあらゆる場面における有形無形の女性差別がすべて、年金額に集約されています。20年以上加入の厚生年金で、男性の平均受給額が月額約19万円であるのにくらべて、女性は約11万円です。雇用の場における差別の撤廃、男女の均等待遇をすすめることが何よりも大切です。
 04年年金「改革」に向けて、専業主婦(第3号被保険者)からも保険料を徴収すべき、パート労働者も厚生年金に加入させるべき、また、年金は個人単位にして遺族年金はなくすべき、などの女性の年金をめぐる議論が行われました。しかし、いずれの解決案もあらたな矛盾が生まれることになり、04年年金「改革」では、離婚時の年金分割や遺族年金の若干の改定・改悪をのぞいては、先送りされました。
 最低保障年金を実現することが、女性の低年金・男女の年金格差を改善するために基本的に重要です。また、根本的には、男女の均等待遇を実現し、男女の賃金格差を解消する必要があります。最低保障年金の実現は、また、第3号被保険者の保険料問題や短時間労働者の問題などの解決の方策にもなります。当面、2階部分の年金分割が必要です。最低保障年金に単身者加算をつけることの検討なども考えられます。
 
【2】最低保障年金制度実現の意義
(1)社会保障は歴史的に勝ち取ってきた譲れない権利
 1982年、世界労働組合第10回 大会で採択された「社会保障憲章」では、「社会保障制度の導入は、労働者階級が多年にわたって雇用主との搾取に反対して行ってきた数え切れない統一したたたかいの成果である。」と指摘しました。
 第二次世界大戦後の1948年にうたわれた世界人権宣言は、その第22条で何人も社会の一員として社会保障を受ける権利を有すること、第25条で、「何人も衣食住、医療および社会サービスを含め、自己および自己の家族の健康と福祉のために十分な生活水準を享有する権利を有すること」、また、「失業、疾病、障害、配偶者の死亡、老齢または不可抗力によるその他の生活能力の喪失の場合に、保障を受ける権利を有する」ことをうたいました。
 社会保障制度の実態と理念は、まさに、労働者の長いたたかいの中で勝ち取り、発展させ、維持してきたものです。すべての国民に無条件で最低限度の生活の保障をすべきであるとするナショナルミニマムの思想もこうしたなかで生まれました。
 日本では、この思想は戦後の新憲法25条を始めとする諸条項によってはじめて国民のものになりました。憲法第25条は、「健康で文化的な最低限度の生活」を国民の権利としてさだめ、「社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上および増進」を国の義務としてさだめています。最低賃金制の確立とあわせて、最低保障年金制度の確立を、基本的な生存権としてたたかっていく根拠がにもあります。
(2)国際的に発展している最低保障年金制度の実現
 第二次大戦後の福祉国家体制のもとで社会保障を拡充させてきたヨーロッパの先進諸国では、今日、高齢者の貧困問題はほぼ解消されたといわれています。
 先進諸国では、デンマーク・ノルウエー・フィンランドなど北欧を中心とする国々、ニュージーランド・オーストラリア、そしてカナダなどに最低保障年金制度があります。また、イギリスやフランスには、大変しっかりとした高齢期の所得保障の仕組みがあります。
 発展途上国でも、南アフリカ共和国・ブラジル・モーリシャスなどは最低保障年金制度をもっています。今後もっとも激しく人口の高齢化が進展する発展途上国では、貧困の中に取り残されている高齢者の問題が深刻になっており、貧困の解決手段としての国庫による最低保障年金制度が注目されています。
  2001年8月、国連社会権規約委員会は、日本政府に「締約国の年金制度に最低保障の規定がない」ことを指摘、制度化を勧告しました。国際的なこうした到達点を踏まえ、最低保障年金制度を構築することが重要です。
 いま最低保障年金制度を実現させることは、困窮度が深まる国民の生活からいっても、社会保障の理念がたたかいの中で具体化されてきた歴史的経過からみても、また、同じように高齢化と財政問題の課題でたたかう国際的な挑戦の経験からいっても、大きな意義をもつものです。
 
【3】年金改革をめぐる論点
 成立した年金「改革」法では、日本の年金制度のかかえる問題が解決できないということは、立場のちがいをこえて、一致した認識になっています。しかし、どういう方向で抜本改革がなされるべきかについては、大きく異なっています。
(1)財界のめざす社会保障全面改悪の方向
 経済同友会は、04年2月、「新しい年金体系の構築」を発表し、 @10年に消費税を財源とする新基礎年金(月額7万円)の導入、A2階部分を企業と個人の掛け金からなる“新拠出建年金制度”にする、という案を示しました。
 財界の提言は、事業主の社会的責任を回避することをめざすもので、@公的年金制度の破壊、A企業の保険料負担削減、B老後の生活保障の廃止につながる内容です。
(2)政府与党の考え方
 政府与党は、基礎年金と報酬比例部分を基本とする保険方式の現行体系を維持するとしています。当面は、公務員関係の共済年金の一本化をすすめ、厚生年金と共済年金の一元化を急ぐとしながら、国民年金を含めた「一元化」には慎重な対応です。
(3)民主党などの「一元化」の考え方
 民主党の年金改革法案は、現行の国民年金、厚生年金、共済年金を所得比例年金として一元化し、その年金額が一定額に満たない人には、年金福祉目的消費税を財源とした「最低保障年金」を支給するというものです。
 「最低保障年金」と呼んでいますが、現在の無年金者や低年金者には適用されません。すべての国民にただちに最低限度の年金を保障するという内容にはなっていないことが大きな問題です。さらに重大なのは、年金目的消費税を最低保障年金の財源としていることです。これは、年金を口実にした消費税大増税への道を開くものです。
(4)全日本年金者組合、全労連、日本共産党の最低保障年金制度案
 全日本年金者組合の提案する「最低保障年金制度」は、すべての高齢者に月額8万円を保障し、その土台の上に拠出制年金を上乗せするという制度です。全労連の提案する「最低保障年金制度」は、最低保障年金額を7万円としました。住居費は社会保障で確保されることを前提にしたものです。
 日本共産党は、当面月額5万円とする『最低保障年金制度』の実現にすみやかに踏み出すことを提案しました。制度の考え方は、全日本年金者組合や全労連の提案とほぼ共通しています。月額はちがいますが、当面これで踏み出し、将来的には生存権を保障する金額にすること、財源は、ゼネコン・大銀行優先の歳出構造の抜本的な改革と所得や資産に応じて負担する経済民主主義の原則にもとづく税制で確保していくとした点で、年金者組合の考え方と一致するものです。
 今後、全労連や日本共産党とも、最低保障年金の実現に向けて旺盛な議論を続けながら、運動の統一と発展をはかっていかなければなりません。
 
【4】最低保障年金制度をめざすたたかい
 年金制度は、すべての人の生存権を保障するもので、社会保障制度の根幹であるという基本的な理念に立った改革が今こそ必要です。
 最低保障年金制度の実現には、大きな困難があることは事実です。しかし、国民の生活が窮乏化し、くらし・平和・政治の矛盾が深まるなかで、真に人間らしいくらしと老後の保障を求める気持ちは、国民のあいだに強く広がっています。介護・医療・雇用・住宅・最低賃金制・生活保護などでの要求実現、庶民大増税反対とあわせて、さまざまな団体や個人との共同をひろげ、青年・女性・労働者・業者など各層の人々との連帯を強めてたたかえば運動を大きく発展させることは可能です。
 地域・地方から国民的な運動をおこし、地方自治体をも味方にして、中央の行政と政治を変えていくたたかいを展開しましょう。
 
T.最低保障年金(一階部分)について
        
. 給付
すべての日本国在住者に無拠出の最低保障年金を支給します。最低保障年金のほか、最低保障障害年金、最低保障遺族年金を支給します。
最低保障障害年金は、20歳以上のすべての障害者に、最低保障遺族年金は、一定条件を満たす遺族に支給し、それらの年金額は、最低保障年金を基準に決定します。
 
. 支給開始年齢
最低保障年金の開始年齢は60歳とします。
. 支給金額
最低保障年金を一人月額8万円とします。この金額は高齢者の最低限必要な基礎的消費支出を賄うものであり、年金制度の土台となる金額です。従って、高齢者の生活は、二階部分を含めた金額で保障されます。
制度自体を発足させることが大切であり、8万円に満たない金額であっても、その金額を出発点に制度を発足させるよう柔軟に対応します。
  8万円の根拠>
 次の三つの指標を根拠とします。
1.総務省統計局「全国消費実態調査」
「全国消費実態調査」
(平成11)における高齢者夫婦世帯(有業者なし)の基礎的消費(食料、住居、光熱・水道、被服・履物)は、12515円です。しかし、これでは基礎的な消費支出として不十分であり、「雑費」のなかから「保健医療」、「交通通信費」を加えると155,645円、さらに「その他の支出」のなかの「小遣い」を加えると163,782円となります。月額8万円は、高齢者の基礎的消費支出をまかなうのに必要な金額です。

2.生活保護基準
 高齢夫婦世帯(
2級地の1)の生活扶助額は109,440円、冬期加算と期末一時扶助の1ヶ月換算を加えると113,239円です。住宅扶助額は、地域によって違いがありますが、「2級地の1」では45,000円程度ですのでこれを加えると158,240円です。1人当たり8万円にほぼ見合った金額です。
 なお、
1級地老齢単身者世帯では、冬期加算、経過的老齢加算を含めた生活扶助費だけで81,000円です。

3.全国一律最低賃金制の水準
 ILO専門委員会は
1984年、「ナショナル・ミニマム」としての最低限所得を勧奨
しています。そこでは「仕事をしていない人々への最低給付は平均1人当たり可処分
所得1/2以上の生活水準」を与えるべきであるといっています(ILO「21世紀に向かってー社会保障の発展」)
 全労連が要求する全国一律最低賃金制の水準は、時給1,000円、月額15万円以上です。最低賃金には課税しないことが要求であり、この金額は、手取額(可処分所得)の水準と見るべきです。
 最低保障年金額を最低賃金の水準の
50%とすると75,000円、55%とすると82,500円です。年金者組合の提起する8万円に見合った金額です。
 なお連合は、
04年春闘時に提起した「連合リビングウェッジ」でその水準を時給840円、月額146,000円としています。「さいたま市」をモデル地域として、生活必需品・サービスをもとに生計費を算定(「マーケットバスケット方式」)したものです。しかし、自動車保有をしていない、単身者の住宅は1kで家賃35,000円と低い、2人世帯以上外食費ゼロなど、低い基準となっています。
 
. 居住要件
外国人を含めて日本国内に20歳以降10年以上居住した人に最低保障年金を支給します。
 
. 財源
財源は、生み出された「社会的な富」を国民本位の立場で再分配して作るべきものです。
具体的には当面次のようにします。
財源は、国庫および事業主の負担とします。
国庫の負担は、消費税によらず、負担能力に応じて集める税収によっておこないます。事業主の負担は、現行被用者年金の事業主負担のうち、基礎年金に充てられている金額をもとに決めます。
 
<必要な財源の試算>
60歳以上人口3331万人(200461日)×8万円×12月=319800億円(A)
負担率
1/2の場合の基礎年金国庫負担金額(年金部会資料2002年度)81000億円(B)
厚生・共済年金事業者負担分のうち基礎年金拠出金に充当される金額
(2002年度基礎年金拠出金の1/2)38000億円(C)
319800億円()81000億円()38000億円()20800億円
国庫負担
(12)と事業者負担の維持を前提にすれば、新たに要する財源は、200800億円です。
<調達可能な財源の試算>
◇財源について◇
 社会保障の財源は、国民本位の所得再配分によって確保されるべきものです。
 一人当たり国民所得世界第4位(01年)の日本でイギリス(5位)、ドイツ(9位)並みの社会保障給付ができないはずはありません。
 「05年日本の福祉」(大月書店刊)唐鎌論文資料(表3−1、3−4、3−5)によれば、01年の日本の国内総生産(GDP)は、約500兆円で社会保障支出はその16.2% 、81兆円余りです。そのうち、公費と企業負担は、55兆円余り、これをドイツ・フランスの水準28%余りにすれば約42兆円の財源ができます。

 具体案の一例を次に示します。
 国の予算の歳出を国民本位なものに見直し、歳入を累進課税と応能負担の原則によって改めることで、最低保障年金制度に要する財源は、捻出可能です。
 以下「不公平税制をただす会」資料によりの一例です。

 1.歳出の見直し、8兆617億円
道路特定財源の一般財源化
34322億円
無駄な公共事業費の削減
24543億円
軍事費等その他の削減
21752億円

2.大企業優遇税制の是正94869億円
各種引当金・準備金の適正化
41213億円
法人税率の適正化
34956億円
巨大企業への消費税還付の廃止
18700億円

3.高額所得者優遇税制の是正38607億円
所得税率の是正
11199億円
資産所得・高額所得優遇税制の是正
27408億円
合計
214093億円

<参考>支給開始年齢65歳の場合
65歳以上人口2431万人(2003101)×8万円×12月=23兆円3400億円(A)
負担率
1/2の場合の基礎年金国庫負担金額(年金部会資料2002年度)81000億円(B)
厚生・共済年金事業者負担分のうち基礎年金拠出金に充当される金額
(2002年度基礎年金拠出金の1/2)38000億円(C)
23兆円3400億円()81000億円()38000億円()114400億円

U.拠出制年金(二階部分)について

1.2階部分全体の仕組み
 
(1)二階部分の年金は、新国民年金、新厚生年金、新共済年金の三本立てによる社会保険方式の公的年金制度とします。
(2)現在の厚生年金基金制度は廃止します。
(3)現在の国民年金基金制度は、新国民年金制度に吸収します。
 
2.新厚生年金、新共済年金(被用者年金)
原則として、雇用の形態・期間を問わず、すべての被用者を適用の対象とします。
加入者は、賃金の額に応じて保険料を負担し、拠出した保険料に応じて給付を受けます。給付の種類は、老齢・遺族・障害年金とし、二階部分のなかでも所得の再分配の機能を果たすようにします。
 
(1) 保険料
@ 保険料は、労使で負担し、負担割合は、事業主7、労働者3(中小零細企業については、事業主5、労働者3、国2)とします。
A 使用者(事業主)は、賃金支払い総額に保険料率を掛けた金額を納付する義務を負います。労働者は、その賃金の受け取り総額に応じて保険料を負担します(総報酬制)。
B 保険料率は法律で定め、労働者の負担分については、04年「年金改革」以前の料率(13,58%/2=,79%)を上回らないようにします。
 
(2) 給付
@ 老齢給付
ア、支給開始年齢は、原則60歳とします。保険料拠出期間40年以上の場合、60歳前でも年金を支給します。
イ、年金額の水準は、40年加入で、最低保障年金と合わせて現役労働者の平均手取り賃金の60%を保障するものとします。
ウ、出産・育児、介護等については、一定期間保険料を免除し、その期間を保険料拠出期間とします。その他、女性の年金が不利にならないようにします。
A 遺族給付
ア、加入者が死亡したとき、その遺族に支給します。
 遺族は、配偶者・18歳未満の子、その他の要件を有する遺族とします。
イ、年金額は、拠出した保険料などに応じて決定します。
 
B 障害給付
ア、加入者が、疾病、けがなどにより、労働および日常生活が困難な状態、または支障をきたす状態のときに支給します。
イ、年金額は、障害の程度、拠出した保険料などに応じて決定します。
 
(3)財源
@ 労使の負担する保険料を財源とします。
A 厚生年金・共済年金の積立金を取りくずし、給付に当てます。
B 完全な賦課方式に移行させます。現在の積立金は被保険者・受給者の代表を含む民主的機関が管理・運用します。
 
3. 新国民年金
 
(1)適用・保険料
新国民年金は、原則、日本に居住する20歳以上60歳未満の人(被用者年金に加入する人を除く)が加入し、所得に応じた保険料を負担します。
 
(2)老齢年金
@ 支給開始年齢は、原則60歳とします。 
A 給付は、加入期間、拠出した保険料に応じて支給します。
B 国民年金の積立金を取りくずし、給付に当てます。
 
(3)障害年金・遺族年金
最低保障年金の、障害・遺族の給付の上に、被用者年金に準じて支給します。
 
V.移行措置について
 
 制度発足と同時に新制度に切り替えます。
 新制度への移行に際しては、現在の被保険者・受給権者に不利にならないようにします。
 現在の被用者年金および国民年金の被保険者・受給権者については、それまでの保険料納付実績を新制度に組み込み新制度の年金として支給します。なお、現在の年金積立金は、2階部分の給付にあてます。

介護保険法等「改正」法案の成立に抗議する声明
2005年6月23日 全日本年金者組合 中央執行委員長 森 信幸

 介護保険法「改正」法案が、22日、参議院本会議で自民、公明の他、民主党の賛成で可決、成立しました。
 同法案は、第1に、新予防給付の導入と引き替えに、これまでの要支援・要介護1など、比較的軽度の要介護者の介護給付を制限し介護給付費の削減をはかろうとするものです。同制度導入の根拠とされた「介護給付が介護の状態を悪化させている」という政府の説明は、国会審議を通じて破綻しました。筋トレなどの介護予防の有効性も十分に証明されていないことも明らかになっています。
 第2に、介護3施設利用者の食費、居住費、通所介護の人の食費を保険外(自己負担)にするものです。その結果、利用者は大幅な負担増を強いられることになります。低所得者への軽減措置を用意したと政府は説明していますが、これはきわめて不十分なものであり、低所得者を介護給付からますます遠ざけることになります。
 その他、地域支援事業の創設による保険福祉事業などの公費負担の削減、福祉施設職員の退職手当制度の改悪など、問題の多い法律です。法案に対する24項目にもわたる付帯決議がこのことを物語っています。全日本年金者組合は、法案を可決、成立させた自民・公明・民主3党に強く抗議するものです。
 今後、政省令の具体化、法案実施に向けての作業が行われますが、その具体化を厳しく監視していくことが必要です。全国に700の支部を擁する全日本年金者組合は、地域における具体化にあたって、地域の実情を充分考慮した住民本位の運用がはかられるよう奮闘するものです。


所得税大増税の
政府税調報告
社会保障費抑制の骨太方針に抗議する
2005年6月22日        全日本年金者組合 中央執行委員長   森  信幸
〒170−0005 東京都南大塚1−60−20  TEL 03-5978-2751 FAX 03-5978-2777
 政府税制調査会と経済財政諮問会議は、21日、それぞれ、個人所得課税の見直しに関する報告書と骨太方針2005を公表した。
 政府税調報告書は、配偶者控除、給与所得控除、退職所得控除、扶養控除などを軒並み廃止または縮小し、定率減税は全面廃止するなど、超大型増税を労働者に押しつける内容になっている。年収500万円世帯で増税約40万円という途方もない大増税計画である。
 いま、労働強化・低賃金・雇用の不安定化に苦しむ労働者が、この上、このような大増税を押しつけられれば、まさに生活破壊を加速させ、少子化の改善にも逆行することは明らかである。
 石弘光会長は、「国民の負担増なしでは少子・高齢化は乗り切れない」としているが、少子化は若い世代の使い捨て雇用が主な原因であり、政府の無策の結果である。また、年金水準の切り下げ、医療・介護制度の改悪など、高齢者に対する大幅な負担増政策がすすんでいるとき、「少子・高齢化を乗り切る」などを口実にした増税はとうてい容認できるものではない。 また、骨太方針2005では、社会保障改革にかかわって、「医療費適正化の政策目標を設定し、必要な措置を講ずる」と明記したことは重大である。高齢化がすすむなかで、医療費が増加するのは当然である。それを、入院時の食費・居住費の自己負担化、低額医療の自己負担化、などで抑制することは、高齢者や低所得者から医療の機会を奪うことになり、健康の悪化や疾病の重大化につながることは避けられない。
 政府のやるべきことは、ムダな公共事業をやめ、大企業への優遇税制をやめるなど、国民本位の財政計画に向けた抜本見直しを行うことである。
 医療を含む社会保障は、憲法で保障された国民の権利であり、高齢化は人類が達成した祝福すべき到達点である。すべての国民が健康で文化的な高齢期を送れるようあらゆる方策を講ずることこそ政府の果たすべき責任である。政府税調報告書および骨太方針2005は、この責任を放棄するものであり、私たちは、断固としてこのような大増税計画・社会保障費抑制計画に反対してたたかうものである。

最低保障年金制度の第2次提言 討議案の発表にあたって
20053月23日 第5回中央執行委員会

 1.第1次提言について
 1999年「年金改革」の闘いを経て、2000年5月16日政策宣伝委員会は、「最低保障年金制度について」(第12回定期大会運動方針付属議案)を答申しました。
 1989年の創立以来、最低保障年金制度を要求してきた全日本年金者組合は、この「答申」にもとづき2001年4月30日、第1次提言「最低保障年金制度を柱とする公的年金制度への抜本的改革」(第13回定期大会第4号議案)を発表しました。
 2.第2次提言の必要性
 年金「空洞化」は以前から大きな問題となっており、このことは、99年「年金改革」時にもの論議されました。しかし、その後も「空洞化」は、改善されず逆に深刻の度を増しています。
 こうした状況を反映して、連合は200210月、全労連は20038月、民主党は2003年衆議院選挙マニュフェスト(法案提出044月)、日本共産党は20043月と、最低保障年金制度の提案が相次ぎました。また、財界は、1998年以来基礎年金の消費税による税方式化を繰り返し主張しています。
 一方、財界・政府与党は、07年度にむけて社会保障の「一体見直し」をすすめています。
 これらを含めた情勢の急激な変化にともない、運動を更に強める上から提言の見直しと具体化が求められるようになりました。
 3.第2次提言討議案提案までの経過
 政策委員会は、原点からの見直と具体化の検討を行ないました。20043月から検討を開始し、三つの作業部会をそれぞれ5回以上、全体会を4回行い、20041116日「最低保障年金制度についての答申」を行ないました。多忙の中、集中的に討議し「答申」を取りまとめていただいた、政策委員の皆さんの献身的なご努力に感謝するものです。
 0412月の第3回中央執行委員会は、「答申」にもとづき討議案の検討を行ないました。しかし、高齢者の雇用の実態やたたかいの継続性などから、最低保障年金の支給開始年齢などに意見が出されて結論を持ち越しました。
 同月開かれた第17回中央委員会で「答申」を発表し、各県に討議と意見の提出を求めました。これに応えて5都県本部を含めて7通の意見が寄せられました。
 053月の第5回中央執行委員会は、「答申」を基本に、これらの意見を含めて検討し討議案の骨子を決定しました。これにもとづき討議案作成しました。
 4.第2次提言の決定
 中央執行委員会は、発表された討議案の討議を各県・各支部にお願いし、来る77日からの第17回定期大会で、第2次提言を決定したいと考えています。活発な討議を集中的に行なっていただくようお願いします。
 5.第2次提言討議案の骨格など
 制度の骨格は、最低保障年金(一階部分)に新国民年金、被用者年金(新厚生年金・新共済年金)を上乗せするものです。討議案は、制度の骨格、金額、支給開始年齢など、結果として第1次提言の主要部分を踏襲することになりました。
 具体化した部分としては、最低保障年金の居住要件、二階部分の保険料の集め方、受給資格期間、給付水準などです。


最低保障年金制度の第2次提言討議案
2005年3月23日 全日本年金者組合第5回中央執行委員会

はじめに

 1950年、戦後の民主化がすすむなかで、社会保障制度審議会は、憲法25条にもとづく国民の生存権と国による生活保障の義務を明確にするために、「社会保障制度に関する勧告」を出しました。しかし、この勧告は政府によって無視され続けています。

 唯一1989年に結成した全日本年金者組合が、全額国庫負担による「最低保障年金制度」を提唱し、この運動をねばり強く続けてきました。

 署名・カンパ、政府・政党などへの要請、国会請願、自治体交渉、地方議会請願など、多彩な運動を展開し、社会的に大きな影響を与えてきました。92年12月神奈川県寒川町議会で、「最低保障年金制度」創設を国に求める意見書が初めて採択され、以来現在まで(05年2月)、1490の自治体議会(47%の議会)で最低保障年金制度の創設を含む意見書が採択されています。

 年金者組合が、2001年大会で、最低保障年金制度の提言を採択したことは、運動を大きく発展させる契機となりました。また、年金の空洞化、無年金・低年金の問題が無視できない状況になるなかで、経済団体、各政党、連合や全労連など労働団体も最低保障年金の問題を取り上げざるをえなくなっています。長年にわたる年金者組合の運動の成果です。しかし、年金の財源を消費税でまかなおうという主張がまかりとおり、消費税大増税への突破口とされようとしています。

 こうした新たな情勢のもとで、あらためて年金者組合としても、労働者・高齢者の立場に立った最低保障年金制度創設の運動を提起していく必要があります。

 15年間の運動の発展に確信を持って、改めて私たちが主張する最低保障年金制度のついて明らかにし、要求実現を目指してねばり強い運動を続けましょう。

【1】 最低保障年金制度創設の意義 

(1)年金制度の矛盾を大きくする04年年金改悪

 2004年年金「改革」は、負担増・給付減を強いる史上最悪のものでした。この「改革」では、年金制度の重大問題である空洞化や無年金者・低年金者の問題、「女性の年金」は何ら解決されないだけでなく、その矛盾は一段と深刻化し制度そのものが展望のない袋小路に入っていくことは明らかです。早晩、制度の抜本的改革は避けられない情勢です。また、この「改革」法が成立した後も、国民の不信と不満は収まっていません。

 この「改革」の最大の欠陥は、歴史的に確認された国と資本家による社会保障の責任を放棄し、自律・自助をうたって、負担と給付のバランスにのみ重点をおいていることです。

 今日の年金制度がもつ諸問題を解決し、安心できる年金制度にするためには、最低保障年金制度の創設がどうしても必要です。

(2)国民のくらしは待ったなしの状況

 小泉構造改革路線のもとで、官民を問わずあらゆる労働者、国民に犠牲が強いられています。労働者、農民、業者、年金者、青年、女性など国民各層の生活条件が破壊されています。

 こうしたなかで、高齢者は61%が年金だけを収入源としてくらしており、医療・介護費の引き上げなども加わって、苦しい生活を余儀なくされています。

(3)深刻化する年金制度の空洞化と低年金

 日本の年金制度がかかえる最大の問題点は年金制度の空洞化と無年金・低年金者の増大の問題です。さらに年金の格差が重大になっています。

 国民年金では、保険料の納付率は下がり続けており、2003年度で63.4%です。免除者を含めて計算すると51.4%で、払い込まれるべき保険料のうち半分近くが払われていません。今後無年金・低年金者の問題はますます深刻なものになります。

 空洞化の状態は厚生年金でも進行しており、加入者数は98年以来毎年減少しています。企業倒産、リストラ、雇用の非正規化などによるもので、企業の違法な適用逃れも、年金財政を悪化させています。

 低年金も深刻です。国民年金909万人の月額平均が4万6千円、生活できない年金です。また、非正規労働者や、パート労働者をはじめとする非正規雇用の労働者の多くが厚生年金に加入しておらず、将来の低年金が避けられません。すでに進行している年金制度の空洞化は、放置すれば、さらに深刻な事態を迎えます。

(4)女性の年金問題

 年金が、賃金や保険加入期間をストレートに反映するため、雇用の場での、賃金・昇級・昇任・仕事内容などの女性差別や社会のあらゆる場面における有形無形の女性差別がすべて、年金額に集約されています。20年以上加入の厚生年金で、男性の平均受給額が月額約19万円であるのにくらべて、女性は約11万円です。雇用の場における差別の撤廃、男女の均等待遇をすすめることが何よりも大切です。

 女性の年金問題は、04年年金「改革」では、離婚時の年金分割や遺族年金の若干の改定・改悪をのぞいては、先送りされました。第3号被保険者の保険料問題や短時間労働者の問題など、女性の年金の矛盾や低年金を解決するためにも、最低障年金制度の確立が急がれます。

(5)社会保障は歴史的に勝ち取ってきた譲れない権利

 1982年、世界労働組合第10回 大会で採択された「社会保障憲章」では、「社会保障制度の導入は、労働者階級が多年にわたって雇用主との搾取に反対して行ってきた数え切れない統一したたたかいの成果である。」と指摘しました。

 第二次世界大戦後の1948年にうたわれた世界人権宣言は、その第22条で何人も社会の一員として社会保障を受ける権利を有すること、第25条で、「なんぴとも衣食住、医療および社会サービスを含め、自己および自己の家族の健康と福祉のために十分な生活水準を享有する権利を有すること」、また、「失業、疾病、障害、配偶者の死亡、老齢または不可抗力によるその他の生活能力の喪失の場合に、保障を受ける権利を有する」ことをうたいました。

 社会保障制度の実態と理念は、まさに、労働者の長いたたかいの中で勝ち取り、発展させ、維持してきたものです。すべての国民に無条件で最低生活の保障をすべきであるとするナショナルミニマムの思想もこうしたなかで生まれました。

 日本では、この思想は戦後の新憲法25条を始めとする諸条項によってはじめて国民のものになりました。最低賃金制と最低保障年金制度の確立を、ともに生存権のたたかいとしてたたかっていくことが必要です。

(6)国際的に発展している最低保障年金制度の実現

 第二次大戦後の福祉国家体制のもとで社会保障を拡充させてきたヨーロッパの先進諸国では、今日、高齢者の貧困問題はほぼ解消されたといわれています。

 先進諸国では、デンマーク・ノルウエー・フィンランドなど北欧を中心とする国々、ニュージーランド・オーストラリア、そしてカナダなどに最低保障年金制度があります。また、イギリスやフランスには、大変しっかりとした高齢期の所得保障の仕組みがあります。

 発展途上国でも、南アフリカ共和国やモーリシャスは最低保障年金制度をもっています。今後もっとも激しく人口の高齢化が進展する発展途上国では、貧困の中に取り残されている高齢者の問題が深刻になっており、その解決のために税による最低保障年金の制度が注目されています。

   20018月、国連社会権規約委員会は、日本政府に「締約国の年金制度に最低保障の規定がない」ことを指摘、制度化を勧告しました。国際的なこうした到達点を踏まえ、最低保障年金制度を構築することが重要です。

【2】年金改革をめぐる情勢と諸潮流

 成立した年金「改革」法は、日本の年金制度のかかえるさまざまな問題を解決する抜本改革になっていません。この点については立場のちがいをこえて、一致した認識になっています。しかし、どういう方向で抜本改革がなされるべきかについては、大きく異なっています。

(1)財界のめざす社会保障全面改悪の方向

  日本経団連は、2003年12月、保険料の引き上げを法定することに反対することや、税・財政・社会保障の一体的改革などについて決議しました。経済同友会は、04年2月、「新しい年金体系の構築」を発表し、 @2010年に消費税を財源とする新基礎年金(月額7万円)の導入、A2階部分を企業と個人の掛け金からなる“新拠出建年金制度”にする、という案を示しました。

 財界の提言は、@公的年金制度の破壊、A企業の保険料負担削減、B老後の生活保障の廃止につながる内容です。

(2)厚生労働省・政府与党の考え方

  政府・厚生労働省は、基礎年金と報酬比例部分を基本とする保険方式の現行体系を維持するとしています。当面は共済年金の一本化をすすめ、厚生年金と共済年金の一元化を急ぐとしながら、国民年金を含めた「一元化」には慎重な対応です。

(3)民主党などの「一元化」の考え方

 民主党の年金改革法案は、現行の国民年金、厚生年金、共済年金を所得比例年金として一元化し、一定額に満たない人には、年金福祉目的消費税を財源とした「最低保障年金」を保障するというものです。

 「最低保障年金」と呼んでいますが、現在の無年金者や低年金者には適用されません。制度が始まるのが09年からで、一定額の最低保障年金(満額で7万円)が支給されるのは40年先です。すべての国民にただちに最低限度の年金を保障するという内容にはなっていません。

 重大なのは、年金目的消費税を最低保障年金の財源としていることです。これは、年金を口実にした消費税大増税への道を開くものです。

(4)全日本年金者組合、全労連、日本共産党の最低保障年金制度案

 全日本年金者組合の提案する「最低保障年金制度」は、すべての高齢者に月額8万円を保障し、その土台の上に保険料による収入に比例する年金を上乗せするという制度です。全労連の提案する「最低保障年金制度」は、最低保障年金額を7万円としました。住居費は社会保障で確保されることを前提にしたものです。

 日本共産党は、当面月額5万円とする『最低保障年金制度』の実現にすみやかに踏み出すことを提案しました。制度の考え方は、全日本年金者組合や全労連の提案とほぼ共通しています。月額はちがいますが、当面これで踏み出し、将来的には生存権を保障する金額にすること、財源は、ゼネコン・大銀行優先の歳出構造の抜本的な改革と所得や資産に応じて負担する経済民主主義の原則にもとづく税制で確保していくとした点で、評価できるものです。

  今後、全労連や日本共産党とも、最低保障年金の実現に向けて旺盛な議論を続けながら、運動の統一と発展をはかっていかなければなりません。

【3】最低保障年金制度をめざすたたかい

 年金制度は、すべての人の生存権を保障するもので、社会保障制度の根幹であるという基本的な理念に立った改革が今こそ必要です。

 最低保障年金制度の実現は、容易なことではありませんが、国民の生活が窮乏化し、くらし・平和・政治の矛盾が深まるなかで、真に人間らしいくらしと老後の保障を求める気持ちは、国民のあいだに強く広がっています。介護・医療・雇用・住宅・最低賃金制などでの要求実現とあわせて、さまざまな団体や個人との共同をひろげ、青年・女性・労働者・業者など各層の人々との連帯を強めてたたかえば運動を大きく発展させることは可能です。

 地域・地方から国民的な運動をおこし、地方自治体をも味方にして、中央の行政と政治を変えていくたたかいを展開しましょう。

 T 最低保障年金(一階部分)について

【1】給付

 すべての日本国在住者に無拠出の最低保障年金を支給します。最低保障年金のほか、最低保障障害年金、最低保障遺族年金を支給します。

 最低保障障害年金は、20歳以上のすべての障害者に、最低保障遺族年金は、一定条件を満たす遺族に支給し、それらの年金額は、最低保障年金を基準に決定します。

【2】支給開始年齢

 最低保障年金の支給開始年齢は、60歳とします。

【3】支給金額

 最低保障年金を一人月額8万円とします。この金額は高齢者の最低限必要な基礎的消費支出を賄うものであり、年金制度の土台となる金額です。従って、高齢者の生活は、二階部分を含めた金額で保障されます。

 制度自体を発足させることが大切であり、実現が可能であれば、8万円に満たない金額であっても、その金額を出発点に制度を発足させるよう柔軟に対応します。

 <8万円の根拠>

 総務省統計局「全国消費実態調査」

 「全国消費実態調査」(平成11)における高齢者夫婦世帯(有業者なし)の基礎的消費(食料、住居、光熱・水道、被服・履物)は、12515円です。しかし、これでは基礎的な消費支出として不十分であり、「雑費」のなかから「保健医療」、「交通通信費」を加えると155,645円、さらに「その他の支出」のなかの「小遣い」を加えると、163,782円となります。月額8万円は、高齢者の基礎的消費支出をまかなうのに必要な金額です。

 生活保護基準

 高齢夫婦世帯(2級地の1)の生活扶助額は109,440円、冬期加算と期末一時扶助の1ヶ月換算を加えると113,239円です。住宅扶助額は、自治体によって違いがありますが、「2級地の1」では45,000円程度ですのでこれを加えると158,240円です。1人当たり8万円にほぼ見合った金額です。

 なお、1級地老齢単身者世帯では、冬期加算、経過的老齢加算を含めた生活扶助費だけで81,000円です。

全国一律最低賃金制の水準

 ILO専門委員会は1984年、「ナショナル・ミニマム」としての最低限所得を勧奨しています。そこでは「仕事をしていない人々への最低給付は平均1人当たり可処分所得1/2以上の生活水準」を与えるべきであるといっています(ILO「21世紀に向かってー社会保障の発展」)

 全労連が要求する全国一律最低賃金制の水準は、時給1,000円、月額15万円以上です。最低賃金には課税しないことが要求であり、この金額は、手取額(可処分所得)の水準と見るべきです。

 最低保障年金額を最低賃金の水準の50%とすると75,000円、55%とすると82,500円です。年金者組合の提起する8万円に見合った金額です。

 なお連合は、04年春闘時に提起した「連合リビングウェッジ」でその水準を時給840円、月額146,000円としています。

 「さいたま市」をモデル地域として、生活必需品・サービスをもとに生計費を算定(「マーケットバスケット方式」)したものです。しかし、自動車保有をしていない、単身者の住宅は1kで家賃35,000円と低い、2人世帯以上外食費ゼロなど、低い基準となっています。

【4】居住要件

 最低保障年金を受給するための居住要件を20歳以降10年間とします。

【5】財源

 財源は、国庫および事業主の負担とします。

 国庫の負担は、消費税によらず、負担能力に応じて集める税収によっておこないます。事業主の負担は、現行被用者年金の事業主負担のうち、基礎年金に充てられている金額をもとに決めます。

 現在の国民年金の積立金約9.9兆円は、これを財源の一部とします。

<必要な財源の試算>

 60歳以上人口3331万人(200461日)×8万円×12月=319800億円(A)

 負担率1/2の場合の基礎年金国庫負担金額(年金部会資料2002年度)81000億円(B)

 厚生・共済年金事業者負担分のうち基礎年金拠出金に充当される金額(2002年度基礎年金拠出金の1/2)38000億円(C)

  319800億円()81000億円()38000億円()200800億円国庫負担(12)と事業者負担の維持を前提にすれば、新たに要する財源は、200800億円である。

<調達可能な財源の試算>

 国の予算の歳出を国民本位なものに見直し、歳入を累進課税と応能負担の原則によって改めることで、最低保障年金制度に要する財源は、捻出可能です。以下「不公平税制をただす会」資料によりその一例を示します。

 1.歳出の見直し、8兆617億円

     道路特定財源の一般財源化34322億円

     無駄な公共事業費の削減24543億円

     軍事費等その他の削減21752億円

 2.  業優遇税制の是正94869億円

     各種引当金・準備金の適正化41213億円

     法人税率の適正化34956億円

     巨大企業への消費税還付の廃止18700億円

 3.  額所得者優遇税制の是正38607億円

     所得税率の是正11199億円

     資産所得・高額所得優遇税制の是正27408億円

   合計214093億円

<参考>支給開始年齢65歳の場合

 65歳以上人口2431万人(2003101)×8万円×12月=23兆円3400億円(A)

 負担率1/2の場合の基礎年金国庫負担金額(年金部会資料2002年度)81000億円(B)

  厚生・共済年金事業者負担分のうち基礎年金拠出金に充当される金額(2002年度基礎年金拠出金の1/2)38000億円(C)

 23兆円3400億円()81000億円()38000億円()114400億円

U 報酬比例年金(二階部分)について

【1】二階部分全体の仕組み

 @ 二階部分の年金は、新国民年金、新厚生年金、新共済年金の三本立てによる社会保  険方式の公的年金制度とし、一階部分の最低保障年金と合わせて支給します。

 A 現在の厚生年金基金制度は廃止します。

 B 現在の国民年金基金制度は廃止し、新国民年金制度に吸収します。

【2】被用者年金

 原則として、雇用の形態・期間を問わず、すべての被用者を適用の対象とします。

 加入者は、賃金の額に応じて保険料を負担し、拠出した保険料に応じて給付を受けます。給付の種類は、老齢・遺族・障害年金とし、二階部分のなかでも所得の再分配の機能を果たすようにします。

(1)保険料

 @ 保険料は、労使で負担し、負担割合は、事業主7、労働者3(中小零細企業につい ては、事業主5、労働者3、国2)とします。

 A 使用者(事業主)は、賃金支払い総額に保険料率を掛けた金額を納付する義務を負 います。

 B 労働者個人は、その賃金の額に応じて保険料を負担し、賞与、一時金は賃金に含め ます(総報酬制)。

 C 保険料率は、法律で定め、2004年「年金改革」以前の料率(13,58%)を上回 らないようにします。

(2)給付

 ア、老齢給付

 @ 年金の受給権は、原則として加入期間5年で発生します。

 A 支給開始年齢は、原則60歳とします。加入期間40年以上の場合、60歳前でも 年金を支給します。

 B 支給年金額は、最低保障年金部分を加えた額が、憲法25条でいう生存権を保障す るものであり、かつ現行の生活保護基準を下回らないものとします。

 C 支給年金の水準は40年加入で、最低保障年金と合わせて現役労働者の平均手取り 賃金の60%を保障するものとします。なお、男子労働者平均手取り賃金の60% の額は、23万5,800円です。ちなみに女性労働者平均手取り賃金の60%の額は、14 万7,000円です。

 女性の低賃金については、男女の均等待遇を実現し、男女の賃金格差による年金 格差を解消する方向で検討します。

 D 出産・育児、介護等については、一定期間保険料を免除し、その期間を保険料拠出 期間とします。その他、女性の年金が不利にならないようにします。

 イ、遺族給付

 @ 加入者が死亡したとき、その遺族に支給します。

 A 遺族は、配偶者・18歳未満の子、その他の要件を有する遺族とします。

 B 年金額は、拠出した保険料などに応じて決定します。

 ウ、障害給付

 @ 加入者が、疾病、怪我などにより、労働および日常生活が困難な状態、または支障をきたす状態のときに支給します。

 A 年金額は、障害の程度、拠出した保険料などに応じて決定します。

(3)財源

 @ 労使の負担する保険料を財源とします。

 A 厚生年金・共済年金の積立金を取りくずし、給付に当てます。

 B 完全な賦課方式に移行させます。現在の積立金は被保険者・受給者の代表を含む民主的機関が管理・運用します。

【3】新国民年金

(1)適用・保険料

 新国民年金は、原則、日本に居住する20歳から60歳未満までの人(被用者年金に加入する人を除く)が加入し、所得に応じた保険料を負担します。

(2)老齢年金

@ 年金の受給権は、原則として加入期間5年で発生します。

A 支給開始年齢は、原則として60歳とします。 

B 給付は、加入期間、拠出した保険料に応じて支給します。

(3)障害年金・遺族年金

最低保障年金の障害・遺族の給付の上に、被用者年金に準じて支給します。

V 移行措置について

 新制度への移行については、次の原則に従ってこれを行い、現在の被保険者・受給権者に不利にならないようにします。

【1】最低保障年金(一階部分)

 制度発足と同時に最低保障年金を支給します。現行基礎年金の被保険者・受給権者については、それまでに払い込んだ保険料に見合う年金を加算します。

【2】報酬比例年金(二階部分)

 制度発足と同時に新制度に切り替えます。現行被用者年金の被保険者・受給権者については、それまでの保険料納付実績を新制度に組み込み新制度の年金として支給します。

(以上)


大増税等負担増のあらまし 

                       2005年1月12日 政策委員会事務局

1. 実施に移されている大増税 
 (1)配偶者特別控除の廃止
 実施時期
2004年1月から(今年の確定申告から)
廃止内容
所得額38万円以下の配偶者の特別控除を廃止、ただし、配偶者控除のない38万円を超え76万円未満の配偶者の特別控除は存続。
なお、所得額38万円とは、年金収入のみの場合、65歳以上の年金額158万円(今年の確定申告まで178万円)、65歳未満の年金額108万円です。

(2)公的年金等控除の縮小と老年者控除の廃止(65歳以上)
 老年者控除の廃止は、所得税と住民税の増税だけですが、公的年金等控除の縮小は、所得税・住民税にとどまらず、直接的、間接的に社会保険、社会保障の負担と給付に連動します。
実施時期
所得税について2005年1月(確定申告は06年)から、2月に受け取る年金から源泉徴収額が増やされます。
内  容
公的年金等控除:定額控除を100万円から50万円に、最低保障を140万から120万円に縮減。老年者控除:50万円(住民税は48万円)を廃止。
縮小・廃止の影響は、年金額によって異なりますが、配偶者控除有りの場合、これまで年金額285.5万円まで課税されなかった所得税が205.3万円から課税されることになります。

2. 実施に移されようとしている大増税等
 (1)公的年金等控除、老年者控除の縮小・廃止による住民税増税
 実施時期
  2006年4月から
 内  容
  現在、所得金額(年金額−公的年金等控除)から老年者控除48万円を控除して税額を計算します。年金が変わらないのに所得金額が増え、48万円の控除がなくなるのでその分増税になります。

 (2)国民健康保険料(税)の負担増
 実施時期
  2006年4月から
 内  容
  国民健康保険料(税)は、自治体ごとに多少の違いがありますが、所得割というものがあります。これは、前年の所得額または、住民税額に料率を掛けて算出するのが通例です。料率も自治体ごとに違いがあります。所得額にかける場合、5%〜8%、あるいはもっと高いところもあるかもわかりません。
  所得額は、年金額から公的年金等控除を引いて算出しますので、公的年金等控除の縮小で所得額が20万円増えた場合、1万円から1.6万円の負担増です。
  また、住民税額に料率を掛けて算出する場合、東京23区では、料率が2.08倍です。年金収入250万円配偶者控除有りで、約4.2万円の負担増です。

 (3)介護保険料の負担増
 実施時期
  2006年4月から
 内  容
  介護保険料は、住民税の課税・非課税、課税の場合も前年の所得額で分かれ、通常5段階になっています。公的年金等控除の縮小で所得額が増えると、住民税の非課税が課税に変わるなど、多くの場合段階が上がります。保険料は自治体によって異なりますが、平均的な保険料水準の場合、1段階上がるとほぼ1万円の負担増になります。

3. 計画されている大増税等
(1) 05年度予算案
*定率減税の縮小
実施時期
 所得税:2006年1月から、住民税:2006年4月(徴収6月)から
内  容
 定率減税とは、税額を計算し、その一定率(20%、または15%)を差し引いて最終的な税額を算出するものです。
所得税:税額の20%(上限25万円)を10%(上限12.5万円)に。
 住民税:税額の15%(上限4万円)を7.5%(上限2万円)に。
 政府は、次年度以降廃止をめざしています。縮小・廃止による負担増の総額は、所得税2.5兆円、住民税0.8兆円で平年度合計3.3兆円です。

*低所得高齢者への住民税非課税措置の廃止
実施時期
 2006年4月(徴収6月)から
内  容
現在、前年の所得が125万円以下の高齢者(65歳以上)に住民税の非課税措置があります。この措置を廃止するものです。
影響を受けるのは、扶養家族0〜1の場合です。扶養家族なしの場合、所得金額が35万円を超えると均等割と所得割が課税され、扶養家族1の場合、92万円を超えると均等割が、105万円を超えると所得割が課税されることになります。
住民税の非課税から課税に変わると、介護保険料の増額につながるだけでなく、敬老パス、インフルエンザ予防接種など、様々な福祉の給付や負担に影響します。

(2) 与党(自公)税制改正大綱(04.12)
  *国・地方を通ずる個人所得課税の見直し(06年度)
   「三位一体改革」に伴う税源移譲を口実に行う。個人住民税率のフラット化(例率を所得に関係なく同じにする)とともに所得税の税率と諸控除の見直しをする。改悪の危険があります。
   
  *消費税を含む税体系の抜本的改革(07年度を目途)
  「社会保障のあり方に関する懇談会」、経済財政諮問会議など、政府は、07年度をめどに社会保障制度の抜本改悪をめざしています。それに併せての消費税大増税をねらっています。


 3.11重税反対総行動」を中心とする
大増税反対の取り組みについて

2005年1月12日  

 年金者組合中央本部は、第17回中央委員会で決定した「3.11重税反対総行動」について、次のような行動の要請を各県本部に出しました。こんどのすさまじい増税計画は、特別に高齢者の生活を直撃するものです。年金者組合としても、総力をあげて、この増税計画に反対していきたいと思います。

1.この行動の目的

 @ 一連の大増税計画のうち、第1弾の年金課税強化につづく第2弾としての定率減税の縮小・廃止が国会で審議される時期に合わせ、これに反対する意思表示を全国で行う。 
 A 従来全商連・民商等が中心になって実施してきた「3.13重税反対総行動」(今年は13日が日曜日に当たるため11日)には、年金者組合も各地で実情に応じた参加の仕方をとってきたが、今年はより主体的、積極的に参加し、世論の結集を図る。
 B 反重税行動に積極的に加わることにより、最低保障年金実現の共闘・共同行動の 強化につなげる。

2.中央・地方での実行委員会への参加

 @ 中央本部は、これまで全労連の一員として間接的に「3.13重税反対実行委員会」(全商連、全労連、新婦人、全生連、農民連、土建等)に加わってきたが、事態の重大性・緊急性に合わせて、今回から直接実行委員会に加わる。(全労連了解済み) 
 A 各県、地域でもあらかじめ県労連、地域労連の了解を得たうえで同様に直接実行委員会に加わる。

3.行動の骨格と留意点

(1)税務署への要請行動

 @ 各県・地域での具体的な計画は、それぞれの実行委員会が自主的に立てることとなっており、実行委員会の場で計画のなかに年金者組合独自の個人請願書提出行動を折り込むよう要請する。
 A 個人請願の提出者は組合員とその家族等を中心とするが、条件が許せば、実行委員会全体にひろげるよう努める。
 B 税務署は、複数の自治体をまたがって所管地域としている例が多く、また、1自治体のなかに複数の税務署がある例もある。地域実行委員会は税務署単位に結成されているので、各支部はこれに留意して実行委員会に参加する。また、この点では県本部が各支部の参加すべき実行委員会の振り分けをおこなう必要がある。

(2)県知事あての要請行動

 @ 県知事あて要請行動や座りこみ等は、各県の実情に応じて、3.11行動の前後に実 施する。
 A 昨年の「4.15総行動」の実績をふまえ、極力上位の役職者と面談できるよう努め る。

(3)中央本部の行動

 @ 218日(金)第2回実行委員会に出席(第1回は17日に開催済み)
 A 同 日        各団体への参加要請行動(全体で約30団体)に参加
 B 310日(木)宣伝行動(P4:00〜、有楽町)に参加
 C 311日(金)午前 国税庁に対する要請行動に参加
         午後 中央決起集会(衆議院第1議員会館)に参加  

4.マスメディアへの対応

 中央本部、各県本部ともに、各メディアに対し事前に行動計画を伝え、取材を要請する。

5.各県の計画と実施結果の報告

 @ 各県本部は、行動計画書を2月中旬までに中央本部に集中する。中央本部はその 一覧をただちに各県に送付する。(行動計画用紙は別途送付)
 A 各県本部は行動の内容、参加人数、個人請願書の提出数等、実施結果の報告を3 月中に中央本部に集中する。(実施結果報告書用紙は別途送付)