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私たちの主張・見解 >> 最近の主張 |
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最近の主張 |
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「新年金制度に関する検討会」発足にあたって(声明)
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2010年3月10日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚多助 |
政府は去る3月8日、「新年金制度に関する検討会」(議長鳩山首相)の初会合を開きました。5月をめどに基本的な考えをまとめる方針で一致したと伝えられ、参議院選挙前に方向性を示すものと見られます。 「国民皆年金」を標榜する現在の公的年金制度は、皮肉にも、膨大な数の無年金・低年金者の存在、将来の無年金・低年金者につながる大量の保険料未納者、免除・猶予者の存在など、機能不全の状態が深刻の度を強めています。公的年金制度が、国民の老後の生活を保障する制度として機能するための制度改革は、まさに喫緊の課題です。 1989年の組合創立以来、最低保障年金制度の創設を掲げて運動してきた全日本年金者組合は、政権のめざす「最低保障年金」に大きな関心を持っています。 私たちは、最低保障年金を憲法25条の生存権保障のための所得保障と位置づけ、最低賃金・生活保護と並ぶべきものと考えています。そのためには、保険料納付を前提としない仕組みが必要であり、最低保障年金には、欠かせない二つの条件があると考えます。 その一つは、現に存在する膨大な数の無年金・低年金者から適用する制度であることです。彼らを放置して遠い将来の高齢者にしか満額の最低保障年金を保障しないのでは、制度を作る意味が半減します。 今一つは、最低保障年金の財源を消費税増税に求めないことです。消費税は、生活費に課税し税の応能負担原則を否定するだけでなく、課税転嫁困難な中小企業・中小業者を苦しめる反面、輸出企業には莫大な還付金をもたらす税制です。社会保障財源に最もふさわしくない税制といわなければなりません。 新年金制度の検討に当たっては、この二つの条件を満たす制度とするよう強く要求するものです。全日本年金者組合は、そのためにも消費税によらない最低保障年金制度の実現に全力を尽くすものです。 |
「日本年金機構」に反対し大量の分限免職に抗議し撤回を求める声明 |
2010年1月5日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚多助
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政府は、2009年をもって社会保険庁を廃止し、日本経済団体連合会専務理事の紀陸孝氏を理事長にすえ「日本年金機構」を発足させました。公的年金は、国民の老後の生活保障などのため、国民に国が直接責任をもって運営すべきものです。日本年金機構は、公的年金への国の責任を後退させるものであり、断じてこれを容認することができません。 日本年金機構は、非公務員型の公法人とされ、民間委託を積極的に行うとされています。公的年金の財政責任や管理運営責任は国が持つとしながらも、国の権限で行うべき事務処理は、公法人に委任・委託して行うこととされています。そのうえで日常的な実務は、いくつかの営利企業に委託して行います。 実務を委託する営利企業は、利益と配当を使命としています。低賃金の非正規労働者を雇って年金実務にあたらせることになるのは必然です。業者の入れ替えも考えられます。これでは正確・迅速な業務が行われる保証がありません。個人情報の漏えいも懸念されます。そもそも社会保障を金儲けの材料にすること自体に、根本的な誤りがあるといわねばなりません。 政府・厚生労働省は、日本年金機構の発足で正規労働者だけでも3000人以上の定員を削減しました。処分歴のあるものは採用しないという前政権の閣議決定をそのまま追認しました。そして12月28日、500人以上の職員を分限免職としました。その中には、処分歴のない人まで含まれています。 公務員には全体の奉仕者としての職務を全うするための身分保障があります。従って、このような大量の分限免職は前例がありません。 年金記録問題など膨大な量の仕事が積み上がっているのに、業務に通じた職員を解雇して、正規だけでも1000人を超える未経験の新規職員で置き換える、これでは国民が望む正確で迅速な年金業務が実現できるはずがありません。ことばだけでなく真に国民目線に立った年金運営こそが必要です。 私たちは、日本年金機構に反対し、不当処分の撤回を要求します。そのための職員団体・「安心年金つくろう会」等の運動に連帯して取り組むことを表明するものです。
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新しい日本社会へ 歴史の歯車をさらに大きく回そう!―総選挙結果について |
2009年8月31日 全日本年金者組合 |
今次総選挙において、自民・公明政権は歴史的敗北に追い込まれました。これは、戦後60年続いた自民党支配の終焉、新自由主義改革を推し進めた自公政権に終止符をうったことを示しています。歴史の扉が開かれ、新しい日本社会への流れがはじまったのです。 貧困と格差、いのちを脅かす政治への国民の烈しい怒り、そして社会保障、雇用、教育などさまざまな要求を掲げてたたかってきた私たちの運動の大きなうねりが、こうした状況を創り出したのです。 野党は、日本共産党、社民党、国民新党の3党は現状維持にとどまりましたが、民主党は大きく前進し、消えた年金問題解決や後期高齢者医療制度廃止などを求める、私たちの運動をともにすすめてきた勢力が政権与党になるという、いまだかつてない状況になりました。民主党をはじめ政権をめざす各党は、年金者の要求を受けとめ、選挙中に掲げたマニフェストに取り入れています。これからは、私たちの要求を入れた公約を掲げた政権に、その実現を迫る、新たな運動になります。 しかし各党のマニフェストは、私たちの要求に照らしてみて、決して十全のものではありません。例えば、最低保障年金制度の財源を消費税に求める、低年金・無年金者の即時救済を明確にしていないなど、見過ごすことのできない問題をもっています。 大勝した民主党が国民の利益に反する政策を数の力で押し通すことなどないよう、新政権の政策の正すべきところは正し、要求実現に向けては力を合わせてとりくむ、今までに経験したことのない運動にとりくむことになります。私たちは、年金者・高齢者をはじめ国民の願い・要求をしっかり受けとめ、組織の総力を挙げてとりくみ、今次総選挙のつくり出した情勢をさらに新しい日本社会実現に向けてすすめなければなりません。 年金者組合員のみなさん。 いま、要求を実現する大きなチャンスが開けています。 後期高齢者医療制度の即時廃止の公約実現を迫るとりくみが第一歩です。臨時国会冒頭、全国に先駆けての大デモンストレーション10・15年金者一揆が続きます。新しい時代を開く力・仲間づくり月間も間近です。 未踏の運動にむけて、勇躍して歩をすすめようではありませんか! |
消費税の法制化は許されない |
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政府税調2009年度税制「改正」への答申に抗議する声明
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2008年12月1日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚 多助
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去る11月28日政府税制調査会は、標記答申を決定し麻生首相に提出しました。答申は、相も変わらず社会保障財源を口実にした消費税増税を基調としたものであり、これに強く抗議するものです。 答申は、3年後の消費税増税を打出している政府の「中期プログラム」に期待し、「社会保障財源と税制抜本改革の具体化の第一歩」と位置づけて「抜本改革」の実施時期を明らかにしたプログラムを求めています。 先に、社会保障国民会議が最終答申で社会保障を充実するために必要だとする消費税の増税幅を示し、同じ28日には、経済財政諮問会議が消費税増税を前提とする税制の「抜本改革」の大枠を取りまとめました。政府税調の答申は、これらに呼応し消費税増税を政府に迫るものです。 また、経済財政諮問会議は、同時に国際競争力を強化するためとして法人実効税率の引き下げを求めています。答申は、これに呼応するかのように外国子会社からの配当を親会社の益金に算入しない制度が適当と新たな大企業優遇税制を提案しています。 消費税は、「社会保障財源」を口実に創設され増税されてきました。しかし、社会保障は後退を続け、反対に大企業・高額所得者などへの優遇だけは着実に進められています。 全日本年金者組合は、現在と将来の無年金・低年金者を無くす最低保障年金制度の実現を目指し、当面、物価高に苦しむ高齢者の生活を守るために「物価に見合う年金」を求めて運動を強化しています。同時に、消費税増税に反対し、憲法9条と25条を持つ国にふさわしい税制と政治を要求して奮闘するものです。 |
経済財政諮問会議での麻生首相の発言に抗議し、辞任を求めます
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2008年11月28日 全日本年金者組合 第4回中央執行委員会
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11月20日の経済財政諮問会議で、麻生首相は、「67歳、68歳になって同窓会に行くと、よぼよぼしている。医者にやたらにかかっている。・・・・たらたら飲んで食べて、何もしない人の分の金を何で私が払うんだ」と発言していたことが、明らかになりました。 |
消費税増税で国民に負担押し付ける |
2008年10月31日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚 多助
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麻生首相は30日夕、記者会見し政府・与党の追加経済対策を発表しました。 日本経済を「全治3年」とし、今後3年間は減税を先行して2010年代半ばまでに、消費税増税を段階的に実施することを表明しました。「全治3年」にしたのは、一体誰なのか、その責任も明らかにせず、反省もないまま弱者を苦しめる消費税増税を打出したことは絶対に容認できません。 「給付金」は1回限りです。定率減税を廃止しておいて、これで国民が納得すると考えているのでしょうか。しかも、これと抱き合わせに、「設備投資減税」、「海外子会社の利益の非課税化」や「証券優遇税制」の3年間の延長という大企業・高額所得者優遇税制が盛り込まれています。いま必要な経済対策は、雇用と営業を守り国民の所得を保障することです。輸出に依存し投機を野放しにする経済を内需主導の経済に改めることです。 「追加経済対策」の財源のほとんどは、特別会計の積立金の流用であり、恒久的な財源を用意したものではありません。要するに「追加経済対策」は、露骨な選挙対策の「バラマキ」に財界の要望を抱き合わせて実施し、その財源は、消費税を増税してすべての国民に負担させようというものです。 消費税は、収入の少ない人ほど負担の重い最悪の逆進税制です。財源は、応能負担原則に従い、大企業と高額所得者に適切な税負担を求め、軍事予算や無駄な公共事業費などを削減して作るべきです。 全日本年金者組合は、急激な生活必需品の物価上昇にたいし、「生活実態調査」をもとに要求額を決定して運動をさらに強化します。消費税増税と大企業・高額所得者をさらに優遇する「税制改革」に反対し、生活必需品の値上がりに見合う年金引き上げを求めて奮闘するものです。 |
後期高齢者医療制度に反対し |
2008年10月15日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚 多助 |
後期高齢者医療制度の廃止と年金天引きの中止を求める圧倒的な国民の声をよそに、本日、国民健康保険を含めて4回目の保険料天引きが行われました。私たちは、これに強く抗議するものです。 後期高齢者医療制度は、高齢者を75歳という年齢だけで別の制度に囲い込み、すべての高齢者の年金から保険料を天引きし、医療内容まで差別するものです。これは、高齢者の尊厳を著しく傷つける最悪の制度です。また、年金天引きは、財産権を侵害し、様々な矛盾を生み出しています。 舛添厚生労働大臣も、年齢だけで高齢者を差別することなど、三つのの問題点を挙げて、制度の欠陥を認めています。この3点はすべて、後期高齢者医療制度の枠組みそのものであり、「手直し」で解消できる性質のものでないことは、明らかです。 制度の致命的な欠陥を解消するためには、後期高齢者医療制度そのものの廃止しかありません。私たちは、参議院で可決された「廃止法案」を衆議院が早急に可決し、制度を速やかに廃止させることを求めるものです。 |
福田首相の突然の辞任表明にあたって(声明)
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「政権たらい回し」は許されない
臨時国会で重要課題・争点を明らかにし 解散し民意を問え |
2008年9月2日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚 多助 |
9月1日夜、福田首相は、記者会見をして辞職を表明しました。昨年9月安倍前首相の突然の政権投げ出しに続くもので、自民・公明政権の行き詰まりと無責任さを重ねて露呈したものです。 国際投機資金の無制限な投機活動が原油・穀物などを高騰させ、農業・漁業・運輸をはじめ産業界に大きな困難と混乱をもたらしています。これがわたしたちの生活物資の異常な引き上げにつながり、国民は、大きな不安に包まれています。 小泉構造改革が推し進めた労働法制の改悪が非正規労働者などワーキングプアを大量に作り出し、その解決がいま切実に求められています。また、参議院で可決された後期高齢者医療制度の廃止法案の審議も来るべき臨時国会の重要な課題です。 これら焦眉の急を要する重要課題が山積している今日、福田首相の突然の辞任はあまりにも無責任といわねばなりません。三度目の「政権たらい回し」の「総裁選挙ショー」のどさくさ紛れに、山積する課題の解決方向・争点を曖昧にして、一気に総選挙に突入することなど許されるものではありません。 新しい内閣の下で開かれた国会において、諸課題について十分議事を尽くし、争点を明らかにし、国会を解散し民意を問うことを要求するものです。 |
「後期高齢者医療制度」発足に抗議し廃止を求める声明
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2008年4月1日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚 多助
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中止・撤回を求める要求運動が日増しに強まり、「中止法案」が野党4党によって衆議院に提出されている状況のもと、これらを無視して「後期高齢者医療制度」が発足させられました。怒りをもって強く抗議するものです。 この医療制度は、75歳以上の高齢者だけを別制度に囲い込み、安上がりの差別医療を押し付けるものです。戦前戦後の混乱期を必死に生き抜き、戦後の日本を築き上げてきた高齢者がどうしてこのような仕打ちを受けなければならないのでしょうか。 血気盛んな青・壮年期には、病にかかることも少なく、さして医療費がかかりません。それでも応分の税負担はもちろん、保険料を負担してきたのです。ところが病院通いが多くなる高齢になったら、別制度にして差別するなど、許されません。人倫の道にもとり、医療制度・社会保険の根幹を否定する制度です。このような理不尽な医療制度が世界のどこにもないのは当然です。 「後期高齢者医療制度」は、現在の高齢者だけの問題ではありません。誰にも高齢化を避けることはできません。したがってこれは、すべての国民の問題です。制度の内容が明らかになるに従い、国民的な反対運動が盛り上がってきたのはそのためです。画期的な野党4党による「中止法案」の提出もこれらを反映したものです。 全日本年金者組合は、「中止法案」の早期審議と法案成立を要求し、「後期高齢者医療制度」の廃止まで全力を尽くすものです。 |
「新テロ特措法」強行可決に抗議する声明 |
2008年1月11日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚 多助 |
自民・公明両党は1月11日、衆議院において新テロ特措法の再可決を強行し成立させました。新テロ特措法は、自衛隊をインド洋に派遣してアメリカの報復戦争支援を再開するためものです。国民世論を無視した強行可決に強く抗議するものです。 両党が衆議院で擁する3分の2以上の多数は、小泉内閣による「郵政民営化」を争点にして得たものであり、自衛隊による給油に対してのではありません。国民世論をより正しく反映している参議院の議決を尊重して廃案とするのが政府・与党の取るべき態度です。 報復戦争は、テロをなくすることができないだけでなく、計り知れない数のつみなき民を殺害し傷つけます。このことは既にイラク・アフガンの悲惨な事実が証明しています。このような無謀な戦争は、一日も早く中止されなければなりません。 日本政府がこの不正義の戦争に加担することは断じて許すことができません。憲法9条を持つ日本の政府のなすべき国際貢献は、軍事力を用いない民生支援であるべきです。自衛隊の投入は、NGOなど民間団体による民生支援の妨げとなっています。 いま国民は、未曾有の原油高によるガソリン・灯油をはじめとする諸物価の高騰に苦しめられています。国民の苦しみをよそにアメリカ追従を強める政府は、一体どこの政府でしょうか。 先の福田・小沢両党主による大連合の協議で、自衛隊海外派遣の恒久法の合意がされたといわれています。そして、恒久法作成への動きが両党内で強まっています。憲法の立法改悪である「恒久法」は絶対に認めることができません。 全日本年金者組合は、憲法9条を守る取り組みと、憲法25条を尊重する社会保障の充実の取り組みに全力を尽くすものです。 |
一人残さず「消えた年金」の解決を求める声明
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2007年12月12日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚 多助
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舛添要一厚生労働相は、12月11日記者会見を開き、「宙に浮いた年金」約5000万件の調査結果を発表しました。基礎年金番号と結びつく可能性の高い記録が約1100万件としています。しかし、約四割が記録不備で持ち主特定作業が難航し、うち945万件が現状では名寄せ不可能としています。 参議院選挙での1年以内に名寄せを終えるという安倍前首相の約束はなんだったのかと、国民の多くが考えるのは当然です。また、舛添厚生労働大臣は就任時、「最後の一人までお支払いする」と約束しています。福田首相、舛添厚労大臣の責任は重大です。 誤りの発生に有効な手を打たず長年にわたって「消えた年金」を積み重ね、これを放置してきたのは、いうまでもなく歴代政府、厚生労働(厚生)省、社会保険庁です。国民が払い込んだすべての年金保険料を年金給付につなげるのは国の責任です。あらゆる手立てを尽くして「最後の一人」まで早急に解決することを要求するものです。 |
政府税制調査会答申への抗議声明
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2007年11月21日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚 多助 |
政府税制調査会は、11月20日の総会で2008年度税制改正に向けた答申をまとめました。 答申は、消費税を「社会保障財源の中核」と位置づけ、消費税率の引き上げを求めています。しかも、単一課税が望ましいと低所得者への一層の負担増を露骨に要求しています。消費税率引き上げを社会保障費と結びつけて押し進めるのは、「社会保障と税の一体改革」を掲げて消費税増税を画策する経済財政諮問会議に呼応するものです。 消費額に課税する消費税は、収入が少ないほど負担が重く、多いほど負担の軽い最悪の税制であり、社会保障財源として最もふさわしくない税金です。社会保障財源は、負担能力に応じて課税し、その税収を社会保障など国民生活に必要な財源に充てる所得再分配で確保すべきです。「法人実効税率の引き下げ」と大企業の更なる優遇を要求していることは、これに逆行するものです。 そして、配偶者控除、特定扶養控除などの所得控除や給与所得控除、退職所得控除、公的年金等控除の見直しを要求しています。庶民増税は国民生活をますます苦しいものにします。 また、答申は、「資産再分配機能の回復」を口実に、相続税の基礎控除の引き下げを要求しています。ここでも増税の対象はもっぱら庶民です。是正すべきは、高額資産家の相続税であり、所得税の最高税率とともに相続税の最高税率こそ大幅に引き上げるべきです。 全日本年金者組合は、消費税によらない最低保障年金制度の一日も早い実現を要求して運動を進めています。私たちは、消費税増税と庶民増税に反対し、最低保障年金制度の実現に全力を尽くすものです。 |
総務省「検証委員会」の最終報告書についての声明 |
2007年11月1日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚 多助
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年金記録漏れ問題の原因や責任を調査してきた、年金記録問題検証委員会は10月31日、最終報告書をまとめ総務大臣に提出しました。 報告書は、多くの職員が年金記録の誤りを漠然と認識している状況にありながら、「申請主義」のもとこれが放置されてきたこと、その責任が社会保険庁長官をはじめとする幹部職員と厚生労働大臣にあることを指摘しています。しかし、重要局面での長官・大臣などの具体的な責任に言及せず、事実上免責しています。また、放置してきた責任は、歴代政府にもあることは明らかです。 さらに検証委員会は、一体性を欠く制度運営の原因を社会保険庁職員の3層構造にあることを指摘しています。「日本年金機構法」では、この「3層構造」に変わって、さらに複雑な「層構造」がつくられました。社会保険庁の解体民営化が致命的な改悪であったことを示しています。 また、検証委員会は、約5000万件からの7840件のサンプル調査で、入力ミスや氏名変更などで持ち主の特定が困難な記録が38.5%もあることを明らかにしています。「5000万件とすべての方の記録との名寄せ」を1年以内に行うという政府の約束が、国民に幻想を振りまくだけのものであったといわれても仕方がありません。政府は、あらゆる方策を尽くして早急に問題を解決するべきです。 検証委員会も指摘しているように、「消えた年金」放置の原因は、「申請主義」とそれによる業務運営にありました。その点での制度の改善が必要です。また、この問題の根底には、無年金・低年金者をつくる保険方式による年金制度の欠陥があります。すべての高齢者の生活を保障する「最低保障年金制度」が必要です。 よって、政府に対し下記の項目の実現を強く要求するものです。 記 1.38.5%に対応する具体策を示し、「消えた年金」をひとり残さず早急に解決すること。 2.年金制度の「申請主義」を改めるとともに、長すぎる受給資格期間を少なくとも10年に短縮すること。 3.最低保障年金制度を一日も早く実現すること。 |
無責任な安倍首相の辞意表明を糾弾し国会解散・総選挙をもとめる
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2007年9月12日 全日本年金者組合 中央執行委員長 篠塚 多助
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本日、安倍首相が辞意を表明しました。 「テロ特措法の延長のためには職を賭す」と語り、臨時国会冒頭の所信表明演説を行い、そして代表質問を直前にしての唐突で無責任な辞意表明です。緊急記者会見での「釈明」では、「民主党の小沢党首から党首会談を断られた・事態を打開するためにはやめるしかない」という幼稚なものでした。そこには国民の生活に責任を持つ一国の首相としての自覚はまったくありません。憲政史上例のないことであり、国際的にも日本の政治への信頼を失墜するものです。 参議院選で、国民は自公の政治路線を明確に拒否しました。しかし、安倍首相は、この国民世論を無視し、貧困と格差を広げてきた「改革」のより一層の推進を表明、内閣改造を強行し、政治の焦点をテロ特措法延長の一点に絞り、その結果、政権を放り出さざるを得なくなったのです。無責任きわまりない首相を選任し、参議院選挙後も支持し続けてきた自公両党のもとでの政権のたらい回しは、断じて認められるものではありません。 私たち年金者組合は、真に民意を問うために、衆議院を解散し総選挙を実施することを強く要求します。 貧困の最底辺で苦しむ低年金・無年金者を救い、貧困と格差拡大にストップをかけるのは焦眉の課題です。私たちは、その課題解決のために「年金者一揆2007」をはじめとする大運動に組織の総力を挙げて取り組むとともに、総選挙で再度「最低保障年金制度実現」を争点としてたたかい、新しい政治に向けて奮闘する決意です。 |
自衛隊による違憲・違法の国民監視活動に抗議する
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2007年6月7日 全日本年金者組合中央執行委員長 森 信幸 |
昨6日、日本共産党の志位委員長は、自衛隊の内部文書をもとに、自衛隊の「情報保全隊」が、国民のさまざまな活動を系統的・継続的に監視していた事実を明らかにしました。 内部文書によれば、監視は、政党・労働組合・民主団体から市民グループ、映画監督・ジャーナリスト・画家など、ありとあらゆる団体・個人を対象としています。自衛隊の組織が、広範な団体・個人の活動を監視していることは、戦前の憲兵隊による国民監視の暗黒政治を思い起こさせるもので、絶対に許されるものではありません。 許し難いことには、わが全日本年金者組合も、対象団体のひとつとされていました。公表された文書によれば、年金者組合は「P系」=日本共産党系列の団体とされており、「組合員6名が青森市内で11:00から12:12の間「年金改悪反対」の街宣・署名活動・ビラ配布を実施」したなどと記録しています。 全日本年金者組合は、「すべての人にひらかれた組織として、思想・信条の違いをこえ団結して行動」することを綱領に掲げ、豊かな高齢期のため「年金・医療・介護・福祉など社会保障制度」の改善をめざし、全国的に活動している組合です。それを、あたかも政党系列下の団体であるかのように断定し、その上監視の対象とすることは断じて容認できません。 しかも、監視の対象とされている活動は、高齢者の生活保障にかかわる年金改善を訴える街頭宣伝で、組合として日常的に行っているものです。このような活動までも、敵視し監視対象とすることは、憲法の保障する集会・結社、表現の自由を脅かすものです。 私たちは、わが組合への監視活動に厳重に抗議するとともに、政府が「情報保全隊」の全容を明らかにし、その危険な活動を直ちに中止することを強く要求するものです。 |
「宙に浮いた年金記録」の早期解明と「日本年金機構法」の廃案を求める要請書 |
内閣総理大臣 安倍晋三 様 |
2007年5月30 日全日本年金者組合中央執行委員長 森 信 幸
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連日の国会運営ご苦労様です。 さて、5,000万件にも及ぶ該当者のわからない年金記録の存在が明らかにされましたが、国を信じて営々と納付してきた年金の記録が紛失するなど、国民にとっては信じがたいことです。膨大な数字ばかりでなく、国民の生活と権利に関わる重要問題が、長年放置されてきたことに怒りをもって強く抗議するものです。 政府は、救済策と称して5年間の時効を適用しない特例法を急遽国会に提出しましたが、これは単に時効を撤廃し、被保険者や受給権者の申告等をまって是正措置をとることとしており、率先して当たるべき国の責務を回避したものと言わざるを得ません。調査の対象も、すべての被保険者、受給権者とすべきであり、とりわけ受給年齢に達していながら無年金となっている者を最優先の対象としなければなりません。 また、このような事態にあるにもかかわらず、「日本年金機構法案」によって社会保険庁を解体・民営化することは、問題の根本原因を隠蔽し、事態の解明と抜本的な解決を阻害する以外のなにものでもありません。法案はただちに廃案とし、緊急事態に即応できる体制を整備すべきです。 以上、年金受給権者の立場から、強く要請いたします。 |
「国民投票法案」「在日米軍再編促進法案」の |
2007年4月13日 全日本年金者組合 執行委員長 森 信幸 |
自民・公明両党は、改憲手続きを定める「国民投票法案」を、12日の特別委員会での強行採決に続き、13日午後、衆院本会議で賛成多数で可決、参院に送付しました。 可決された与党修正案については、委員会での質疑は尽くされておらず、公聴会でも、賛成の公述人を含め、圧倒的多数が、慎重な審議を求めました。しかし最低投票率を定めないなど、さまざまな問題点の解明のないまま、強行採決したものです。 「在日米軍再編促進法案」は、沖縄の「基地負担の軽減」などではなく、米軍の世界戦略再編に手を貸すものであり、外国の基地強化に税金を使う、歴史的にも国際的にも例を見ない国辱的なものです。この法案も、また十分な審議もなく、国民にその内容を知らせないまま、一気に本会議で可決成立させたのです。 政府と自民・公明両党の、こうした民主主義を蹂躙する暴挙を断じて容認できません。 憲法は、あの太平洋戦争の悲惨な体験の中から生み出されたものです。私ども年金者組合員の多くは、悲惨な歴史を生き抜いてきただけに、憲法を大切にしたいという思いには切なるものがあります。また半世紀を超える戦後の歴史を生きて、民主主義の大切さを骨身にしみて感じています。憲法改正の手続きを定める法律や、国の尊厳を傷つける法案が、ファッショ的なやり方で押し通されていくことに、日本の将来への重大な危機を感じます。 今日も、多くの方たちが、法案の強行採決に抗議し、国会周辺を埋めました。両法案に反対の意見は、国民の圧倒的多数です。私たちは、法案の廃案をめざし、総力を挙げてたたかいます。 |
被用者年金一元化法案に反対する声明
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2007年4月13日 全日本年金者組合中央執行委員長 森 信幸 |
政府は4月13日、被用者年金一元化法案を閣議決定し国会に提出しました。同法案は、国家公務員、地方公務員、および私学教職員にかかわる共済年金を厚生年金に統合し、適用外とされているパート労働者のごく一部を新たに厚生年金適用とするものです。これは、廃止される職域年金の代替制度を先送りするなど、拙速に取りまとめた政治的意図優先の法案です。 いま、公的年金制度が直面する重大問題は年金「空洞化」であり、早急に取り組むべきはその対策です。被用者年金一元化法案ではありません。 国民年金だけの人900万人の年金月額は4万7千円に届きません。無年金者も、100万人を超えるものと見られます。また、収入が少なく年金保険料を納められない人の数も高止まりのままです。現在の公的年金制度は、国民の老後の生活を保障する上で大きな欠陥を持っています。最低保障年金を制度の根幹に置く年金改革、最低保障年金制度の実現が強く求められています。 「追加費用」削減による受給中の共済年金削減も重大です。同法案は、共済年金のうち旧恩給制度にかかわる部分の27%を削減するとしています。一定の歯止めがあるとはいえ、これは、公務員退職者の財産権を侵害し、生活を脅かす重大な問題です。 恩給制度は、国の制度として国と自治体が公務員と軍人に給付してきた制度です。これは、労働条件の一部でありその財源は、年金財源とは異質のものです。「被用者年金一元化」を口実に「追加費用」の削減とそれに伴う年金の削減は許されません。 また、同法案の厚生年金適用は、膨大な数のパート労働者に較べてきわめて少数であり、「再チャレンジ支援」にはほど遠いものです。 全日本年金者組合は、「被用者年金一元化法案」に反対し、最低保障年金制度の実現を要求して奮闘するものです。 |
社会保険庁「改革」関連法案に反対し |
2007年3月13日 全日本年金者組合中央執行委員長 森 信幸
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政府は3月13日、社会保険庁「改革」関連法案を閣議決定し国会に提案しました。同法案は、日本年金機構法案と年金事業運営「改善」法案からなっています。 日本年金機構法案は、2010年に社会保険庁を廃止して非公務員型の公法人、日本年金機構をつくり、実務を民間委託するというものです。 これは、年金不信の責任を、社会保険庁とその職員に転嫁し、膨大な年金実務を営利企業の市場に放出するものです。合わせて「公務員削減」をうたって選挙に利用しようとするものです。 長期にわたって安定的に運用されるべき国民の貴重な財産である年金制度は、国の手で安全に運営されなければなりません。これを営利企業の金儲けの具に供することには、データ管理など計り知れない大きな問題を引き起こします。 国民の間に広がっている年金制度への不信は、負担を引き上げ給付を引き下げる、度重なる「年金改悪」によるものです。所得がなくても保険料を義務づけるという制度の構造的矛盾によるものです。年金不信を解消し、年金制度が老後保障の制度として機能するためには、最低保障年金制度の創設こそ急ぐべきです。昨年11月全国市長会も最低保障年金を含めた年金制度の検討・見直しを政府に要望しています。 年金事業運営「改善」法案には、国民年金保険料滞納者に市町村が、国民健康保険の短期保険証を発行して年金保険料の納付を求めることを可能にすることが含まれています。未納理由の大半は、収入に較べて保険料が高すぎることです。法案は、国保保険料を払っても医療が受けられない事態を招きかねません。異なる制度を使ってのペナルティーなど言語道断です。 また、同法案には、年金保険料を年金事務費に充当することの恒久化が含まれています。公的年金制度の事務費は当然に一般会計で賄うべきものでありきわめて不当です。 全日本年金者組合は、社会保険庁「改革」関連法案に反対し、最低保障年金制度の実現を要求するものです。 |
二つの選挙にあたり訴えます 07年2月 全日本年金者組合 |
T.憲法9条・25条を守り、生かす政治を要求します 安倍内閣は、5年以内の改憲を表明し、施政方針演説でもこれを強調しました。日本をアメリカと一緒に戦争できる国にしようとしています。戦後最も危険な内閣です。 軍事費を増強することと社会保障・福祉を充実させることとは両立できません。憲法9条を守ることは、日本と世界の平和にとって欠かせないだけでなく、25条を生かし社会保障を充実する政治にとっても大切です。 政府与党は、民主党を取り込んで国民投票法を憲法記念日までに成立させようと狙っています。9条改悪のための国民投票法に強く反対します。 U.緊急の国民的課題として最低保障年金制度の実現を求めます 1.膨大な数の高齢者が無年金・低年金者、その生活は大変です 無年金者は、現在100万人以上です。国民年金だけの人約900万人の年金は、平均月額4万7千円にも届きません。老齢年金100万円未満が46.8%、女性では67.4%です。ひとり暮らし女性の生活は特に大変です。 無年金・低年金者の生活は、証言集「ふつうの生活がしたい」に見るように厳しいものです。若いときから必死に働いて来た人が、苦しい老後を過ごしています。最低保障年金が必要です。 2.保険料を納められない人が多く、若者の多くが将来無年金・低年金者になります 年金保険料を納めていない人・免除、猶予を受けている人・どの年金制度にも入っていない人の合計が約1000万人です。格差と貧困の拡大で、保険料を納められない人が増えているからです。この人たちは、将来の無年金・低年金者です。最低保障年金制度が必要です。 国民年金第1号保険料の納付率は、社会保険庁の猛烈な取り組みで表面的には、若干の改善が見られるものの、依然として低いままです。その上、免除・猶予の人を含めた実質的な納付率は50%程度で改善されていません。(納付率=納付された総月数/納付されるべき総月数) パートなど不安定労働者の多くは、厚生年金の適用がなく自分で国民年金保険料を納めなければなりません。厚生年金が適用されるべき労働者でも、不当に排除される場合も少なくありません。 3.日本の年金制度は、無年金・低年金者をつくる欠陥を持つています 政府や与党は、「世界に冠たる国民皆年金」と日本の制度を誇っています。しかしその実態は、深刻な「空洞化」の状態にあります。 お金がなくても保険料の納付を求め、納められない人には年金を出さない日本の年金制度は、無年金・低年金者をつくる致命的な欠陥を持っています。最低保障年金制度があってこそ、本物の「国民皆年金」になります。 政府は04年、「年金改革」を強行しました。保険料は2017年まで毎年引き上げ、年金水準を毎年引き下げるという大改悪です。こうした度重なる改悪が、制度の欠陥と相まって深刻な年金不信をもたらしています。 今国会提出予定の社会保険庁の解体・民営化法案は、年金不信の責任を社会保険庁と職員に転嫁し、年金業務をバラバラにして、不安定労働者を大量に使う営利会社の金儲けの道具にしようとするものです。 関西テレビの番組ねつ造、不二家の不祥事、東電の原電報告の偽装・改ざんなど、金儲けを優先する民間会社の不正が後を絶ちません。国民にとってかけがえのない老後保障の頼みの綱である年金制度を営利企業にゆだねることは危険です。 4.年金者組合は、消費税によらない最低保障年金制度を要求します 全日本年金者組合が提案している最低保障年金制度は、保険料なしで月額8万円の最低保障年金を20歳以降10年以上日本に居住する60歳以上のすべての高齢者に支給し、保険料に比例して支給する拠出建て年金を上積みする2階建ての年金制度です。財源は消費税によらないことを重視しています。 最低保障年金制度は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という憲法25条の理念にもとづくものです。 高齢者に所得を保障する最低保障年金制度は、最低賃金制度、生活保護制度と並んで、国民生活の最低生活保障基準の一つに、位置づけるべきものです。 5.最低保障年金制度は世界の常識です 2001年8月、国連社会権規約委員会が、日本政府に対し日本の公的年金制度に最低保障がないことを指摘し、最低年金の導入を勧告しました。昨年3月の年金者組合の要請団に対し国連関係者は、財源問題が最低年金をつくらないことの理由にならないことを強調しました。 先進国では、最低保障年金制度などによって高齢者に所得保障をすることが常識となっています。発展途上国でも最低保障年金制度をつくる国が増えています。 6.消費税によらない最低保障年金制度の財源はこうすればつくれます 最低保障年金制度の財源は、負担能力のあるところから税金を集めて必要なところに使うという「所得再分配」によってつくるべきものです。具体的には、大企業や大金持ちに応分の負担を求め、無駄な公共投資や軍事予算を削ってつくります。 大企業は、空前の利益を上げています。ところが相次ぐ減税で税負担は大幅に軽減されています。大企業が応分の負担をして、社会的責任を果たすことを求めるべきです。 大金持ちは、株の売買などで大きな利益を上げています。ところが、国税・地方税合わせてもたった10%しか払っていません。わずかな年金にも、国税・地方税合わせて15%もの税金がかけられています。大金持ちにも適切な税金負担を求めるべきです。 政府は、米軍再編の費用を3兆円負担することをアメリカに約束しました。膨大な予算をアメリカのイラク戦争支援に使っています。また政府は、採算のとれない高速道路を大量に造ることを決め、関空第2期工事、八ツ場ダムなど、無駄な公共事業を進めています。これらを減らして社会保障の財源に充てるべきです。 これらによって最低保障年金の財源はつくることができます。 7.日本でも最低保障年金制度をつくる機運が広がっています 全日本年金者組合は1989年の創立以来、最低保障年金制度の実現を求めて運動をすすめてきました。2002年以降、労働団体(連合、全労連)、政党(民主党、日本共産党、社民党)が相次いでこの制度を提案しています。 年金者組合は、2001年の(第1次)提言に続き2005年7月、「最低保障年金制度の第2次提言」を発表し、制度実現の運動を一層強化しています。指定都市市長会も同月、最低年金制度を提案しました。 昨年11月には、全国市長会が「将来に向けて持続可能な年金制度とするため、その在り方について、最低保障年金制度を含め国民的な議論を行い、適切な見直しを行うこと」とする要望を国に提出しました。 これは、現在の制度が持続可能な制度ではなく、最低保障年金制度が必要だということを間接的に表明しています。この要望をきっかけに、同様の市議会意見書が相次いで国に提出されています。最低保障年金制度をつくるべきだという機運の広がりを示しています。 8.最低保障年金制度は、膨大な数の現在の無年金・低年金者を救える制度でなければなりません 労働団体・政党も最低保障年金制度を提案し、全国市長会が要望書を国に提出する状況の下で、最低保障年金実現の機運が急速に広がっています。制度実現のためには、広く国民的な合意をはかることが必要になります。 その際大切なことは、第一に、現在いる膨大な数の無年金・低年金者を貧困から救えるものであること、第二に消費税によらないことです。 民主党案では、一元化した新しい年金制度の給付を前提にした制度なので、現に存在する膨大な数の無年金・低年金者は、最低保障年金制度の対象になっていません。 また、連合の案は、財源の1/3を、これまでの民主党の案は、約1/2の財源を、経済同友会など経済団体にいたっては、財源の全額に消費税を予定しています。民主党の新しいマニフェストでは、消費税の一部の年金目的消費税化を述べ、消費税増税を当面回避しています。小沢代表も、代表質問で消費税5%の据え置きと全額を基礎年金財源に充てることを主張しました。これまでの案(3%の年金目的消費税)との整合性など検討が必要です。 V.公的年金等控除・老年者控除の縮小・廃止をもとに戻 すことを要求し、大企業・大金持ちに応分の負担を求め、庶民増税、消費税増税に反対します 1.高齢者は年金課税などの大改悪による負担増で苦しんでいます 政府は、2005年からの「公的年金等控除」の縮小と「老年者控除」の廃止を強行しました。06年度からは、所得125万円以下高齢者の個人住民税非課税措置を廃止しました。また、06年には定率減税を半減させました。 そのため、05年から所得税(確定申告06年)、06年6月から住民税が大増税となり高齢者を苦しめています。今年は、定率減税が全廃されさらなる大増税が国民を襲います。 07年は、定率減税が廃止されましたが、所得税は、「三位一体改革」による「税源移譲」に伴って、税率が半分、5%になったので定率減税廃止による増税が見えにくくなります。反対に、6月からの住民税では、税率倍増(5%から10%に)と定率減税廃止による大増税が重なり、昨年に倍する大増税となります。 所得125万円以下高齢者の非課税措置廃止による新たな住民税の課税については、激変緩和の経過措置がありますが、2年間でなくなりさらに大きな負担になります。 2.負担増は税金だけでなく、国保・介護保険料などに波及しています 公的年金等控除の縮小・老年者控除の廃止、低所得高齢者の非課税措置の廃止が、06年度から国保・介護保険料に波及して、大幅負担増になりました。介護保険料には、3年ごとの保険料見直しが重なり、負担をさらに大きくしました。国保・介護保険料への波及については、経過措置で一定の軽減がされますが、2年間で廃止されさらに大きな負担が強いられます。 特に、低年金者が非課税から課税に変えられると,大きな負担増を強いられます。ここでも経過措置は2年間で終わります。 個人住民税の非課税者は、「低所得者」として社会保険・社会福祉の上で一定の配慮がされています。例えば、介護保険の保険料区分、高額療養費の負担限度額などや、シルバーパスなど福祉の給付と負担など。収入が増えないのに「低所得者」の扱いをはずされることは大きな痛手です。 3.公的年金等控除・老年者控除の縮小・廃止などをもとに戻すことを要求します 激変緩和の経過措置は、07年度には半減し、08年度にはなくなります。ここに至って初めて年金課税強化の全貌が明らかになります。 年金課税強化は、高齢者の生存権を脅かす許し難い暴挙です。この暴挙を許さず、公的年金等控除の縮小・老年者控除の廃止・低所得高齢者の住民税非課税措置をもとに戻すことを要求します。 激変緩和の経過措置には、次のようなものがあります。 低所得高齢者の住民税非課税措置の廃止による課税を06年度1/3に、07年度2/3にするもの、年金課税強化による国民健康保険料・介護保険料負担増を06年度07年度一定の軽減、年金課税強化による負担限度額(高額療養費)の2年間据え置き、その他、自治体独自の福祉の経過措置が行われています。 4.高齢者負担増分の還元と激変緩和の経過措置の存続を自治体に求めます 年金課税強化で、住民税が大増税され、国保・介護保険料も大幅にひきあげられました。これらの財源を高齢者福祉の充実に使わせる、負担軽減させるなどを要求します。 2年間で激変緩和の経過措置が終わります。自治体が独自に行っている福祉の経過措置も2年間で終わります。これらを自治体独自の軽減措置として継続することを要求します。 自治体独自の個人住民税軽減措置が、京都市、名古屋市、川崎市などにあります。これらを守り、すべての自治体で実施することを要求します。 *京都市の場合、高齢者(65歳以上)で扶養家族0人:所得金額135万円以下、1人:165万円以下、2人:195万円以下の場合、個人住民税を半額にする *名古屋市の場合、高齢者(65歳以上)で扶養家族0人:所得金額125万円以下、1人:158万円以下、2人:191万円以下の人の個人住民税を半額にする。 *川崎市の場合、扶養家族0人:112.76万円以下、1人:151.68万円以下、2人:183.88万円以下の「市民税の納付が困難と認められる場合」全額免除する。高齢者に限らない。 なお、この他に、地方自治法に基づく災害等特別の事情のある場合の自治体独自の軽減措置があります。 5.優遇されすぎている大企業に応分の負担を求めます 大企業は、税率の引き下げだけでなく、さまざまな優遇措置を受けています。大企業に応分の税負担を求めます。 安倍内閣は、「成長戦略」を標榜し、財界の要求する法人実効税率の引き下げは見送ったものの、減価償却制度見直という新たな優遇税制を07年度予算に組み込みました。優遇されすぎている大企業に対するさらなる優遇に反対します。 最高43.3%であった法人税の税率は、現在30%にまで引き下げられています。地方税を合わせても40%(実効税率)に届きません。ところが日本経団連は、国際競争力を口実に実効税率を30%に引き下げよと要求しています。日本企業の実効税率と社会保険料率の合計は、欧米諸国と較べてはるかに低率です。財界の身勝手な要求に応えようとしている政府・与党を許すことはできません。 大企業は、税率で優遇されているだけでなく、研究投資減税、連結決算制度、などさまざまな優遇税制を受けています。それでは足りないと、安倍内閣と自民・公明両党は、7000億円にもなる減価償却制度の直しの新たな優遇を国会に提出しています。庶民には大増税を押しつけながら、大企業をますます優遇するなど言語道断です。 6.大金持ちにも所得に見合った税負担を求めます 総合累進課税に基づき、高額所得者には正当な税負担を求めます。生活費非課税の原則に従って、課税最低限を引き上げることを要求します。 負担能力に応じて課税するという応能原則は、税制の大原則です。生活費には税金をかけないというのも大事な原則です。これは、憲法第25条が求める原則です。ところが歴代の政府は、この原則を骨抜きにする「税制改革」を繰り返しています。 所得税の最高税率は、現在40%です。そのうちの3%は、住民税を減らした分です。最高税率は、かって75%でした。度重なる減税でここまで下げられています。しかもこれは、所得金額1800万円を超える部分についてです。何千万円、何億円稼いでも地方税を合わせても50%です。 政府と自民・公明両党は、株の売買益や配当にかかる税金を据え置くことを決めようとしています。国税地方税合わせて10%しか税金を負担しません。私たちのわずかな銀行預金にも20%の税負担が、わずかな年金にも15%もの税金が課せられます。大金持ちも、正当な税負担をするべきです。 7.給与所得控除などの縮小・配偶者控除などの廃止に反対します 一昨年、政府税制調査会は、給与所得控除・退職控除の縮小と、配偶者控除・扶養控除の廃止を提起しました。自民・公明両党は、少子化対策に名を借りてこれらの導入を狙っています。これらの新たな庶民増税に反対します。 給与所得控除の縮小は、公的年金等控除のさらなる縮小にも連動しかねないものです。高齢者にとってもひとごとではありません。 公的年金等控除を縮小したときの口実は、「高齢者(公的年金等控除)は現役(給与所得控除)に較べて優遇されている」でした。給与所得控除の縮小は、公的年金等控除のさらなる縮小につながります。 8.消費税増税に反対します 消費税は、収入の少ない人ほど負担の重い最悪の税制です。消費税増税には断固反対します。 政府や自民・公明両党は、年金の国庫負担を1/2にするための財源に消費税増税を予定しています。それだけでなく、2011年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字にするという「歳出歳入一体見直し」でも消費税増税が織り込まれています。彼らは、選挙民の反発を避けるため、消費税増税を隠して選挙戦を乗り切ろうとしていますが、安倍内閣は、施政方針演説で、選挙後の論議開始と08年度消費税増税を打ち出しました。 消費税増税を隠して選挙戦を闘おうとしているのは、政府と自民・公明両党だけではありません。民主党も従来から年金目的消費税を主張してきました。 W.医療・介護・生活保護の改悪に反対し、改善を求めます。 1.後期高齢者医療制度の創設による高齢者への負担増、医療内容の悪化に反対します 昨年成立した医療制度の改悪で、「後期高齢者医療制度」が、2008年4月から実施されることが決まりました。これは、すべての高齢者への十分な医療を保障する国の責任を投げ捨て、医療費削減のみを目的としたものです。高齢者への負担をさらに増やし、高齢者への医療差別を促進するものであり、この実施に反対し、凍結を求めます。 制度の概要は次のようなものです。 @75才以上の後期高齢者に独自の医療制度をつくる。そのため、75才以上のすべての高齢者(約1300万人)から保険料を徴収する。 A後期高齢者医療制度は、すべての市町村が参加する都道府県ごとの「後期高齢者医療広域連合」を設立して実施する。 B65才から74才の前期高齢者については、制度間の医療費負担の不均衡を調整し、現行の退職者医療制度を廃止する(2014年まで経過措置)。
高齢者医療制度については、次のような問題があります。 1)扶養者として今まで負担がなかった人も保険料を払わなければなりません。高齢者へのいっそうの負担増になります。 保険料は、厚生労働省の試算で、平均的な厚生年金受給者(年額208万円)の場合、月額6200円、年間74400円の負担になり、年収390万円の子どもと同居する高齢者(基礎年金79万円)の場合、月額3100円、年間37200円の負担になります。 2)保険料が年金から天引きされます。天引きは、保険料負担の実態をかくし、高齢者の生活を有無をいわさず圧迫します。 3)滞納の場合、保険証が取り上げられます。 年金が月額15000円以下で、現金で納める人(高齢者の約2割、厚生労働省)は、滞納して医療が受けられなくなる恐れがあります。 4)診療報酬は、病気の種類や治療法ごとに医療費を定額とする「包括払い」の導入が検討されています。高齢者への医療内容の差別・劣悪化が大きな問題です。自由診療・自己負担増に道を開きます。 5)医療給付の増加によって、保険料が引き上げられることになります。介護保険や国民健康保険と同様に、地域による格差を放置、拡大し、国の責任を放棄するものです。 6)「広域連合(県単位)」の運営になるため、住民の声がとどきにくくなります。介護保険料のような市町村単位の減免が困難になります。
以上のような点から、後期高齢者医療制度には反対です。実施の場合は、これにより高齢者への負担増、医療の劣悪化にならないよう求めます。 2.すでに行われている医療制度改悪をもとに戻すことを求めます @ 医療費の負担増に反対します。 すでに進行中の現役並み所得の70才以上の高齢者の窓口負担2割→3割の引き上げ、また、70才以上の療養病床の食費・居住費の負担増は、高齢者のくらしを圧迫しています。くわえて、2008年4月から70才〜74才の高齢者の窓口負担が、1割から2割に引き上げられ、同時に、65才〜69才の療養病床の食費・居住費が引き上げられます。これでは、高齢者は安心して治療を受けることもできません。 A 療養病床の削減に反対します。 2012年3月までに現在38万床の療養病床を約6割削減するとしています。医療型10万床の削減、介護型13万床の全廃です。患者の実態や介護の実態を無視した病床の削減は許せません。 B リハビリの機械的な日数制限に反対します。 3.介護保険の保険料・利用料の減免を拡大し、高齢者介護のための施策を拡充することを求めます 改悪介護保険法による「介護のとりあげ」や利用者の負担増、また、保険料の引き上げが高齢者に深刻な影響を与えています。高齢者の実態にあわせ、以下のことを要求します。 @ 自治体独自の保険料減免制度の拡充を求めます。 A 低所得者への利用料負担の軽減の拡充を求めます。 B 介護ベッドの購入やレンタルの助成の拡充を求めます。 C 外出支援サービス、配食サービスなどの充実を求めます。 D 在宅サービス、特別養護老人ホーム、宅老所など実情に応じた整備を求めます。 E 実態に即した要介護認定を求めます。 F 地域包括支援センターの体制の充実を求めます。 G 介護労働者の労働条件の改善を求めます。 H 地域に根ざしたよい事業者の育成を求めます。 4.生活保護制度の改悪に反対し、実情に応じた行政を求めます 生活保護行政にかかわる費用の削減を優先し、保護を申請するのに必要な書類を渡さない、人権を無視した調査や指導、また、機械的な申請拒否などの非人間的な行政が続いています。生活保護が受けられないための餓死や自殺が後を絶ちません。 憲法25条による「健康で文化的な最低限度の生活」をすべての国民が享受できるように、下記のように、生活保護行政の充実・改善を求めます。 @ 必要なすべての人が生活保護を受けられる行政を求めます。 A 「慰問金」「入学・修学旅行の支度金」などの給付の拡充を求めます。 B 生活保護費の高齢加算の廃止をもとにもどし、母子加算の廃止に反対します。 C 生活保護費の切り下げに反対します。 |
厚生労働大臣 柳沢伯夫 様 |
柳沢厚生労働大臣の発言に抗議し即刻辞任を求めます |
2007年1月31日 全日本年金者組合第5回中央執行委員会 |
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柳沢伯夫厚生労働大臣は、27日に開かれた松江市の会合で、女性を「子どもを産む機械」などという今の日本の少子化の問題を「女性が子どもを一生の間にたくさん産んでくれないから」と女性の責任に転嫁をしています。「女性の出産年齢は、15歳から50歳までで、数を勘定すると、装置がもう数で決まっちゃっているからがんばってもらわないと」などと言っています。 |